ENo.0614　ルーチェ・アーミスト

儚と話してからというもの、お互い全力で機体強化に取り組み、連携を見直した。
その成果あってか二人してあらゆるランキング上位に食い込む大躍進を果たした。
作戦終了後、私が儚の両手を振り回して礼を言っていたのを、セイランが少し離れて微笑ましげに見ていた。

・・・・・・

「そろそろ戦場に出る目的を話してほしい？」
「うん。死ぬ覚悟までして......そうまでして目指すものってなんなのかなって」

これを聞いたのは、別に実力が彼女に並んだつもりでいる等という驕りではない。
前回、死の恐怖を目の当たりにした今だからこそ、あれほどの恐怖を無視するかのような戦いぶりを見せる彼女を一体何が突き動かすのかを知りたくなったのだ。

「聞いて得をするようなことはないと思うが......単なる資金稼ぎだ」
「目的無しであんな機動するわけ無いじゃない。もったいぶらずに教えてよ！」

セイランから見て、ルーチェの目は真剣そのものだ。

──果たして何を期待しているのやら......。

と、ここで彼女はふと思い付く。
ここまで興味を持っているのだ。
彼女自身に目標を持たせれば、また新たな動きが見られるのでは無いか？と。
実際に、前回の撃墜の経験から今回の戦果への繋がりには目を見張るものがあったし、おかげで儚がルーチェのため自ら動くという場面も見られた。

「......そうだな。確かに私にも目的はある。気になるようなら......」

と、セイランは少し間を置いてそっとルーチェの目を覗き込むように近寄る。

「いずれかのランキングで一位を取ってみろ。その時のご褒美とでもいうのか。楽しみにしているぞ」
「い、１位！！？」

不可能ではない。
現にランキング上位に入れる実力ならばもう持っている。
後は彼女のやる気と努力次第。

「なんだ、やらないのか？」
「......セイランの意地悪！こうなったら絶対１位取ってぎゃふんと言わせてやる！」
「ぎゃふん」
「あーもう！馬鹿にして！いいもん！儚と相談してくる！しっかり説明する文章考えといてよね！」

ルーチェはそう言い残すと勢いよく部屋を出た。
儚の元へ向かったのだろう。
彼女は儚の「誰かを助けたい」という意志を引き出すのにとても協力してくれている。

「また楽しみが増えたな」

セイランは部屋で一人、笑みを浮かべた。

残像領域のどこかの町にある、行き場のない者の寄り合い所。運営は気まぐれ。
利用・改築自由の集合住宅。2LDKの5階建て。
管理者に御用の方は、3階の角部屋まで。

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ユニオン活動：現在は制御*5
ユニオン購入：経験値+1、またはAP+10%