ENo.0268　ゴートリンデン

格納庫からの機械音はどうやら気のせいではないようだ。
包丁を置き、素早く手を拭いた。

最新のID認証でロックされている自分のハイドラが動くとは思えなかったが、その独特な起動音はよく知っている。
故障か、何者かが認証を破ってハイドラ荒らしでもしにきたか…。
ゴートリンデンはコンテナハウスを出てすぐさま格納庫へ向かう。

しかし、たどり着く前に、
ぐらり、頭の中を掴まれるような眠気に襲われた。


（なんだ…？）
それはハイドラの操縦席に座った時に似た感覚だった。
かすかにアラームが聴こえる。
いかん、と思い首を振りながら、それでも格納庫へとたどり着く。
「ゴートリンデン！！」
遠くで自分を、(それとも犬を?)呼ぶ声がして重い頭を上げた。

どういったわけか、ハイドラは黒く揺らぐように咆哮する黒い犬の姿に見えた。
（犬…。ゴートリンデン……）

途端に。
緑の光も眠気も消え去り、同時にコックピットの中の人影を見た。

「…お前、ここで何を…。アビダン」

どこからか迷い込んできた雑種の犬。

遊んでほしそうにこちらをじっと見つめる犬。

筋トレをしていると腹に乗ってくる犬。

くんくん言いながら餌をねだる犬。

じゃれついてきては困らせる犬。



がいる体で。

常に見えない何かと格闘する人生。そこに犬が居てもよい。

決まりは特になし。
各自好きなようにエア犬。
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格闘5：機動力+3％

（出入り自由。申請お気軽に。