ENo.0656　エレライナ・マーラジカル

「……ああ、適当に暇つぶしくらいの感覚だったんだけどね、■■■。」
一人、機体の真横で独り言を喋るエレライナの姿がそこにあった。
「え？珍しいんじゃないかって？いやいや、そんな事はないだろう？そんなに僕が意固地だった事があったかい？…え？あった？……そ、そっか。
…………うん、うん、あっはは、大丈夫大丈夫。あれは……うん、魔女かな。魔女みたいな見た目の人が僕に声をかけてくれてね。
要する所は…――力がほしくないか？って。答え？もちろんYesだよ、Yes。
当たり前さ、散々撃ち落として来た僕が満足できると思った？……まあ散々に撃ち落とすつもりはもうさらさらないんだけど、
それでも…少しくらいは何かしたいじゃないか。わかる？……めんどくさいからわからん？やれやれ…ほんとに変わらないね。
……え？もっと詳しい話がほしい？その人について？……うーん、僕もまだ知り合ってすぐだからそんなに話してないんだ。
…………少なくとも、■■は感じるよ。ああ、あれは間違いない。……僕達の世界にはないやつだ。興味はないけど。
最も僕はもうそことはそうそう関係がない。ほとんど…そう、コレがあればなんとかなる。
話に乗って、散々に楽しませてもらうとするよ。僕の時間は途方もなく長いからね。」

ひとしきり喋り終えると、手元へ目線を動かす、そこにあるのは一通の手紙。
「……差出人不明ながらに、書いてある事はあの魔女が手を回したに違いのないことだ。何をやったかまでは知らないが……
生きて会えるのを祈っておくか、この戦地はあまりにも……いや。」
手紙をしまい込み、機体を見てぽつり。

「命はいつでも惨く散るものだったね。シスター。」


追伸
あの魔女について僕や■■■が知ることはほとんどないといってもいいだろう、■■■がなにか引っかかるものがあるようだがいかんせん古いらしい。
強い興味が今あるわけじゃない…僕が辿っている道について手がかりになるのならいいがそういうわけでも多分、ないだろう。
この世界にはあまりにも多様な者がいる。人だけじゃない、本当に、多様だ。
僕としてはどうでもいい……が、知り合った人くらいは気にかけておこうかとも思わないでもない、気分次第になるか。

しかしこの手紙の機体、ずいぶんと爆撃機だな、絨毯爆撃はしたことがないんだが…。