ENo.0505　セイラン＝ルーデ

「『霜の巨人』……いよいよ話が混沌としてきたな」

セイラン＝ルーデは、端末に表示されるニュースを眺めながら呟いた。
机上にあるのは、生まれつつある混乱で安く手に入ったケーキと紅茶。
カップから一口啜り、共に卓を囲む二人へと話を振る。

「私にはどうにも理解が追いつかないな。スケールが大きすぎて、どうにも現実だという感じがしない」

「……そう、でしょうか？私には、そういうイメージはありませんけれど……実感は多少、湧きにくいですが」

「そういえば、ユメはここの世界の生まれだけれど、私たちはそうじゃないもんね、ユメには無意識に、そういう感覚が染み付いているのかも」

「通常、子供の頃に物語の読み聞かせなどをするものだと聞いたことがある。その物語ひとつ取っても、その世界に深く根ざしたものだろう？」

周囲の情勢に関わらず、彼女らのやることは何も変わっていない。通常の人々は、混乱に引き摺られ、奔走しているというのに。
ユメは少し奇妙な感覚を覚えていた。彼女も少し前までは、ニュースを見て、あるいは誰かが話しているのを聞いて、慌てる側だったはずなのに。今こうして、お茶を楽しみながら次の戦いに備えている。
ルーチェもセイランも、これといった危機感は抱いていない。この二人は、霜の巨人に限らず、強大な力に対する先入観がない。ユメももしかすると、その態度に影響を受けているのかもしれない。

「この世界の子供向けの話は、幾つか読んだけどさ。時々、どこかで聞いたような話もあったりして。やっぱり、全くの創作ってわけでもないんだねえ」

「全部が全部、実話というわけでもないでしょうけれど。……お二人は、どんなお話をご存知ですか？」

「……ふむ、では私から。これはその昔、暖かな海辺で暮らす……」

残像領域のどこかの町にある、行き場のない者の寄り合い所。運営は気まぐれ。
利用・改築自由の集合住宅。2LDKの5階建て。
管理者に御用の方は、3階の角部屋まで。

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ユニオン活動：現在は制御*5
ユニオン購入：経験値+1、またはAP+10%