ENo.0018　シータ・キンデン

いつものようにマーケットに来てみると



久々に出会った。　よ、よし‥‥

「デ、デコボシちゃん、ですよね‥‥？　わ、わ私のこと、覚えてますか‥‥？」

やってしまった。　どう見ても不審者だ。



案の定固まってしまっている。

「やっぱり、覚えてないですよね‥‥　ええと、シキ・ジーマ博士のところの‥‥」



どうやら博士のことは覚えているみたい。　よかった‥‥

私の顔をじっと見つめた後、突然外へと駆け出していった。
あわてて追いかけてみると、大人くらいの大きさの巨大な回し車が。
デコボシちゃんのかな？ と眺めていると、中から一冊の本とカメラを持って出てきた。

本を見させてもらうと、いくつもの風景や人々の写真が貼ってあった。
中でも同じ男女の写真が数多くあるようだ。
今はこの人達と一緒に行動してるのかな。

そのまま本を眺めている間に、デコボシちゃんは私の肩までよじ登ってくると、しきりにカメラを指差していた。

「‥‥？
　あ、えっと‥‥一緒に撮るんですか‥‥？」



どうやらそうらしい。
うまく笑えるかな‥‥意を決してシャッターを切る。

‥‥

すぐに現像された写真には、なんともいえない表情をした私が写っていた。

「も‥‥もう、一枚‥‥！」

気を取り直してもう一度シャッターを切る‥‥うん、さっきよりはマシかな。

マシな方の写真を渡すとデコボシちゃんも満足したみたい。よかった‥‥

「それじゃあ、私はそろそろ‥‥楽しかったです。
　また会えたらいいですね‥‥」



デコボシちゃんに別れを告げ帰路に就く。
博士にいい土産話ができた‥‥ってあれ、何か、忘れてるような‥‥
あ、買い物‥‥