ENo.0192　ルーカス・ホワイト＆スカイシーカーⅡ

『至天飛翔』――汎用人型二脚戦闘用ウォーハイドラ、スカイシーカーに、父さんが刻んだ信念。
そして、僕が受け継いだもの。
天へ至る為に、飛び、翔ける。翼である、スカイシーカーと共に。

誰もが至ることの出来なかった景色。
霧に包まれた残像領域。その先に続く世界。
僕や父さんにとっては見果てぬ夢であり、多くのハイドラライダーや残像領域の人々にとっては、一笑に付されてしまうもの。
子供じみた御伽噺。空を目指した人間の物語。
儚いもの。空ろなもの。
けれど。――けれど、とても尊いもの。

空。
蒼く、澄み渡るという、空。
霧が晴れ、光は満ちて、あたたかいもの。
遠くを見渡すことを許され、真実に照らされた場所。

明日をも知れぬ戦いに身を投じなければならないハイドラライダーが、逸れてしまってはいけない横道。
霧に包まれた残像領域で、願ってはいけないもの。望んではいけないもの。
だけど、僕はその場所を目指している。
ああ、そうだ。目指してしまった。
たとえどれだけ飛んでも空などなくて、霧が続いているだけなのだとしても。

天へと至る為に、僕は今日も飛ぶ。
――父さんの遺してくれた、この翼で。


Day.1 至天飛翔　スカイシーカー　end