ENo.0005　ラグウェルフ

俺は俺だ。
例えば俺が俺でない場合が存在したとして、そのとき俺が俺でなくても、俺は俺だ。
俺はそのために俺でいて、俺がいるのだが……
さて。
俺は俺の中でも比較的まともな俺だと自負しているが、俺である時点で俺以外からすればまともではないことも理解している。
そのうえでこの日誌……日記？　を書いているが、俺以外の俺にこれは理解されなくて問題ない。そう前置いたうえでこれを書くからな。俺は俺に文句を言うなよ。
俺……俺達、ラグウェルフは、ここにいる、俺だ。こう書くと意味が分からないし俺達の大半がこう説明するんで訳がわからないと反応される。ここは俺達の欠点だ。もしこの日記を俺以外が読むようなことがあった時に何も理解されず捨てられても知らんぞ。
だからそんなときのために俺は以下に頑張ってまともな説明を書こう。

俺達ラグウェルフは、実体としては何人もの人間だ。その人間たちは全員のことを「わたし」「俺」と呼ぶ。
どうしてそうかと言われると、俺達にも一切わからない。共通の病なのか、そういう種族なのか、そういう魔物なのか、機械なのか、誰かに操られているのか。わからないが、このうちのいくつかは否定できる。気づけば、見たことのある者が俺達になっていることがあるからだ。こないだだって増えた。
俺達の目的は、俺達であることだ。もっと具体的に言えば、「存在」、そしてその証明、そしてその証拠を残すことだ。
そのためならば俺達は何も選ばない。今はひとつの手段として戦っているが、やれることはなんだってする。している。
誰かに頼まれて何かをするのもその手段の一つだが、前述したように俺以外の俺では理解されるように言葉を選ばない。気味悪がられて終わりだ。これも俺達の欠点だ。

あー……もういい。もう飽きた。次の俺の番にでも何か書く。もし読む奴がいたら何枚かめくってくれ。次の番の奴はこれに文句を書くなよ。今日の分終わり。

わたしの、いるところ。