ENo.0002　キリト・閃鐳・イサラギ

「ん？やっぱ小僧っこの妹のせいか」

「じいさん」

「へ、図星って顔だな　まあ、あれだけ元気な嬢ちゃんだからなあ」
「儂も嬢ちゃんから『ハイドラライダーってなれますか』って言われた時はそりゃーたまげたが、」
「いや　ま　随分と本気だったみてえだからな」

「……」
「俺に当てがったのもじいさんの差し金か」

「おっとぉ、人聞きの悪いこと言うんじゃねえよ？」
「儂はただ示しただけさあ　決めたのは嬢ちゃんだ」

「………」

キリトは何か言おうとしたが、結局何も言わずに再びエンブレイスの整備を始めた。
装甲をひどくやられているが、中身に今のところ目立った傷はない。
中身に問題がなければ、装甲を剥ぎ新しいものに替えればすぐ出撃できる。
…まあ、それでも撃墜時の衝撃はすさまじく、致命打を受けた際キリトは衝撃で椅子から落ちた。
その際、打撲傷と顔に切り傷がひとつできた。今回の被害はそんなところだ。

《Notice,キリト。モニカ・フランクリンよりメールを受信しました》

G.I.M.S.が音声通知を送る。
…整備中でもキリトはG.I.M.S.を起動している。
なんだかんだでこのAIが誰よりもハイドラの中身に詳しい。
異常個所などがあればすぐに申告するし、彼も頻繁にシステムのチェックを入れている。
それにしても……──。

「……」

唐突に自分の元に押しかけて、僚機を名乗り出た新人ハイドラライダーの女。
戦場に向かうときはこちらから連絡すると言ったのに、いったい何の用だろうか。
眉をひそめるキリト。

「読み上げてくれ」

《Sir,本文を読み上げます。『キリトさん大丈夫ですか？　お見舞いとか行きましょうか　果物とかゼリーとか持っていきますよよければ　どうでしょう　返信ください』　以上です》

ブッ


…
……

《Question、キリト。返信しますか？返信の場合……》

「全部不要！待機維持！」

《Sir,音声文字変換。…返信完了。モニカ・フランクリン宛にメール送信しました》

ため息を吐き、キリトは額を押さえた。
スーツァン老がゲラゲラ笑っている声が聞こえ、さらに気分が滅入ってしまう。

「じいさん、見世物じゃないんだ。そんなに笑うな」

「いやいやいや」
「これは…ヒッヒッヒッヒ」

「……」

「あー、そんな顔で睨むんじゃねえよ」
「ま、ロニーの小僧っこがいなくなってから、キリトおめい眉間の皺いつもより２、３本くらい増やして随分気ぃ突っ張ってたからな」
「儂としちゃ少しその硬い調子が狂ってた方が、いいわい」

「…」
「気を抜かして戦場で死んだら元も子もないだろう」

「ま、そらそうだがなあ…」

スーツァン老はキセルを咥え直すと、ゆっくりと吸う。

「おめえもよ、小僧が死んで その後も戦場に出る…気が張るその気持ちはわからんでもないが」
「もうちと引き締める時と抜く時を分けれたらいいんじゃがなあ」

「…残像…」

「ぅん？」

「残像領域で、誰かを失くすのは…もう、懲り懲りだ」

「キリト」

「だから俺は戦うし、その為に弛むわけにはいかない」

「…」

老人の口から、濃い煙が細く長く吐かれる。

「…そうかい。じゃあそうならねえように、しっかりやんだな」

「ああ」

キリトは小さくうなずいた後 再び整備作業に戻った。

何を考えても、何も考えなくとも時間は進む。
そして自分の状況は何も変わりはしない。

何もしなければ、ただ死ぬのみ。


抗うには、動くしか 前に進むしかないのだ。

荒れた丘陵地に住み着いた子どもたちが、夜な夜な的を立てている。
ハイドラライダーは各自が利用料を払って訓練に使用している

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ユニオン活動：射撃*5 固定
ユニオン購入：経験値+1
ロールプレイ：やる気なし
参加脱退：自由（先着