ENo.0035　如月

　パイロットデバイス67式乙42号のコンディションチェック。

　生命維持……、規定値を下回る。
　精神安定……、規定値を下回る。

　該当デバイスの廃棄を決定。


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　二回目の実戦。
　結果から言えば失敗した。

　ことの始まりは取引先からの納品遅延だ。
　我々の事務方が遅延連絡を受け取り損ね、整備、アーキテクト、そして私もまた、それに注意を払っていなかった。
　そして直前になるまで、納品未遂に気付かなかったのだ。

　物品はすべて番号によって管理される。
　納品リストは当初予定していた数字にずれが生じ、格納庫へのフレームおよび武装パーツの搬入が遂行されなかった。

　結果、軽逆関節型の脚部への換装が急遽中止となり、軽車輪型への切り戻しも間に合わず、やむを得ず試験用簡易脚部を装備させての出撃となった。

　当然のことながら十分なデータが取れずじまいだ。

　これは如月の身から出た錆だ。
　早急に改善、対策を処置。

　このような失態が人間性の恐ろしいところだ。
　残像領域の人類がこの危険を戦いの中で孕むたびに、壊滅的な被害が産声をあげるのを幾度となく耳にしてきた。

　不確かな人間性の抹殺。
　それが如月の使命であり、計画の最終到達地点。
　人類を救済できるのは確実な人間性だけだ。


　…………………………………………。


　スポンサーから予てからの出資契約が打ち切られた。
　出資者の志向がチームの方針と合わないことが判明したためだ。
　もしかしたら我々が不甲斐ないことも一因しているかもしれないが、それは下衆の勘繰りというものだ。

　幸運にも新しいスポンサーを味方につけた。
　彼らを一言で表現すれば、ダガーだ。

　不安だ。


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　パイロットをデバイス67式丙03号へ修理交換。
　人格および戦闘学習記録をバックアップからロード。
　コンディションチェック。

　生命維持……、正常。
　精神安定……、正常。


　さあ、出撃の時間だ。

残像領域のある場所。
ある都市のうちのひとつ、霧都市。

都市のはずれ、その中にひとつ、霧の中でぼんやりと明かりが灯っている建物が見える。

霧と混じる工房の煙。
ここは、ダガー工房。
ハイドラのためのダガーを造るための人々が集う場所。
硬質ダガーに魅せられた人々が集う場所。

今日もダガーの職人、技術者、お客、全然関係ない人。
いろいろな人物がいろいろな目的で集まっている。

その様子を工房の片隅で、
無口なバーテンが笑顔で見ている。


※説明
・ダガーユニオン
・【訓練】格闘*5　【購入】経験値+1
・雰囲気ユニオン
・片隅にショットバー