ENo.0245　クリス・バーミリオン

ユーティラスはバイオ兵器を吐き出した後、ノロノロと戦場を移動し始める。
機体の限界までパーツを積んでおり、動きが鈍過ぎて捕捉されれば良いマトだ。
さっさと後方に下がればイイものを、ユーティラスは前へ前へと進んでゆく。

『ガタガタ抜かすな。今日は電磁波が薄くてデータが取りやすいんだ』

さらに今日は霧が薄くて視界もイイ。なるほどデータ収集にはもってこいだ。

正気か？　絶対イカレてる。だから研究者って人種はキライなんだ。

『何のためのパートナー契約だよ。援護頼むよ。今度抱いてやるからさ』

殺すか？　私の位置からなら撃ち放題だ。簡単な仕事だ。
そう思っている間に、正面に敵影が見え始めた。
普段の霧で見えない恐怖は厄介だが、こうやって目に見える大群の圧迫感も辛いものがある。

マズイんじゃないか？　私はコントロールスティックを握り締めアクセルを踏み込む。




『悪いって。そんな怒んなよ～。取り分そっちが多めでイイからさ！』

死ぬかと思った。後で絶対ぶん殴ってやる。

案の定、ユーティラスは集中砲火を受け、すぐ傍で援護していた私も激しい砲火に晒された。
彼の機体の装甲がパルス砲の嵐で見る見る剥がれていったときは血の気が引いた。

……　いやいや。別にコイツが死んでも困ることなんて無いんだが。

戦闘はまだ続いているが、味方陣営の勝ちは見えてきている。
そこで私たちは離脱を決め、２人してボロボロの機体を引きずりながら後方へ下がっているところだ。

『いやでも今日は助かったよ。やっぱ戦場で頼れる女が一番だよな』

ウソだな。どんだけの女に手をだしているのか、私が知らないとでも思ってるのか。
確かに戦場では言えばいつも私に背中を預けてくれてるようだけども。
まぁだからどうだって訳じゃない。女に関してはコイツはホント信用でき

『クリス！　上から



激しい音と衝撃に一瞬意識が飛んだ。ユーティラスに突き飛ばされ私の機体は倒れこんだ。
私は混乱していた。周囲を見回し。ユーティラスが見え。そこに機関砲の弾が降り注ぎ





目が覚めた。

ここは壊れた操縦棺の中。ではなく、小汚い隠れ家の粗末なベッドの上。
体を汚しているのは血。ではなく、ただの寝汗。

昔から夢見が悪いが、最近はもっぱらこの夢ばかり。
どうせ悪夢なら今はもっと別の方がマシだ。

捨てられたクソガキ同士で寄り集まって、年長に殴られ命令されて残飯を集めに行った時の夢。

金が無くて食い物欲しさに盗みに入った倉庫で捕まって輪姦されたときの夢。

ライダーのライセンスを盗むため関係を持った男を酒瓶で殴ってやっちまったときの……


どれもクソみたいな話だな。クソが見る夢に相応しいラインナップだ。



「ホントに。私はクソだ」

頼ってくれたのに。本当に私は。何の役にも立たない女だ。

１から始める培養装置！
整備技術の勉強に特化した研究ユニオンだよ。
エンジンの研究とかも副業でやるつもり！

※本ユニオンは毎回、整備を５振りです。
※ユニオン購入は経験値＋１固定。整備の高みを目指します。
※10～15更新くらいから死亡許容にすると思います。しばらくは死亡失踪の心配は無いです。