ENo.0113　ブラック・タグ

　――夢を見ている気分だ。
　いや、夢を見ているのだろう。
　霧がかかったような景色に懐かしさを覚える。
　目の前にはっきりとしないが誰かがいることがわかる。

　――あぁ、これは私だ。

　証拠があるわけでもなく、目の前の人物が自分であると直感が告げていた。
　何か言葉を口にしているのだが聞き取る事も出来ない。
　思い出せないということなのだろうか。
　せめて何か手掛かりでもと思ったところで景色が真っ白になっていく。
　まだ……まだ目覚めるわけには……。

　――病室？

「お目覚めですか、マスター」

　そこは操縦棺の中。
　様子を窺うようにキバナ・アマが私を覗き込む。

「夢……？」

　先ほどまで見ていた夢も急速に記憶から薄れていく。
　ただ、夢を見ていたという実感だけが残る。

「夢……ですか」
「良い傾向ですね、それでは本日のバイタルチェックを開始します」

　私の記憶は未だに霧に包まれている――

当機関は残像領域における医療情報機関です。
人工知能による新型医療情報統合システムの技術研究を嘱託されています。
現在進行中の「■■■■■計画」は――

――故ニヨり中断――
――――――からの出資は停止されタタめ規模を大幅に縮小しておリマス。

霧侵食により施設――――棄シマシタ。

――続セヨ――継続セヨ――

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※ユニオン活動は「制御*5」、「素材+1」で固定されます。