ENo.0417　ユールフ・ヒースモンド

DAY2

　作製したばかりの頭部へ換装中に出撃コールが掛かった。慌てたためか、せっかくの広域索敵型頭部をガレージに置き忘れてしまった事に気付いたのは戦場を目前にしてからだった。今回は大した問題がなかったからよかったが、下手を打てば命取りになる。良い教訓だ。

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「ちょーっぴりきな臭いっすねえ」
　キャンピングトレイラーの座り心地が良いとは言えないソファーにもたれながら、ユールフはラジオを止めた。
　ユールフはあまり世界あるいは政治的な情勢に興味を持つタイプではない。未知の発見や神秘、それからハイドラのことならいくらでも知りたいと思うが、人のいざこざや社会的な営みは自分の領分ではないと捉えている。しかし、自分が巻き込まれる可能性に気付きながらあえて無視するほど世間嫌いというわけでもない。
　先日《霧笛の搭》の派遣仲介人・ノラからハイドラライダー達に宛てられた音声メールからは、企業連盟と《霧笛の搭》の不穏な関係性が見え隠れしていた。それが妙に気になってここ数週間のニュースをかき集めてみれば、案の定企業連盟はハイドラを辺境軍閥との戦争に利用する企みがあるようだった。
　今までの戦闘は治安維持のためのものだったが、仕事の仲介人が連盟の人間に成り代わられてしまった以上、これからは企業連盟側として戦うことになるのかもしれない。
「ま、その辺は正直どうでもいいっす。それより気になるのはこの遺跡要塞という代物っすね」
　大体の情勢を理解した上で、ユールフはその全てを受けいれていた。ユールフにとってハイドラは夢であり憧れであるが正義を象徴するものではない。そもそもハイドラライダーは報酬を得てするもの、つまり金銭目的の仕事でしかないのだ。自らを一人のライダーとして扱ってくれる《霧笛の搭》が戦えと言うのならその通りに戦うだけだ。戦場を選り好みする資格は今の自分にない。
　だからユールフはせめて楽しく戦うための努力をすることにした。
　辺境軍閥が目覚めさせたという四つの遺跡要塞。企業連盟の主導で攻め入ることになれば、そこに眠っているという遺産技術を目の当たりにすることもあるかもしれない。あるいは遺跡内部には現代に存在しない動物や植物の生態系があるかもしれない。
　ユールフはそんな夢想をしながら、一杯のコーヒーを淹れるために席を立った。

　残像領域には荒野が広がっている。豊かさとは無縁である。だが、荒れ果てた土地には一切の生命が芽生えない、などという道理はない。たとえどんな環境であろうと僅かでも命を育む糧があるのなら、生命は適応し活動する。人間がまさしくそうであるように。

　フロウルムは残像領域の生態系を調査する事を目的としたユニオンである。
　朽ちた兵器に咲く花、棄てられた工場に住まう獣。領域に根付いた命。それを奇跡と捉えられる者をこそ、我々は望む。

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　とまあ、お堅い感じで概要を説明してあるけど、抽象的な上にふわっとしてて正直分かり辛いっすね。英語で言うとポエミー。という訳でゆるーく補足しておくっす。

　当ユニオンは残像領域の生態系を調査するとこっす。領域はどこも荒れ地だけど、だからって生き物がいないなんてことはないっすよね。植物なり動物なり、もしかしたら外の世界の人が知ったらびっくり仰天するような物があるかもしれない。それを探してみようっていうのが趣旨になるっす。
　ここだけの話、色々と見切り発車なんでちゃんと活動できるかは分かりませんけど。でも万が一本格的に活動することになったら「今週はこんな生物見つけたぜー」とか発表し合ったりできたらいいなあ、なんて考えてるっす。もちろん「活動なんて知ったこっちゃないわ、あたしは適性を上げたいだけなの！」って人も歓迎するっすよ。
　地質とか植物とか調べる関係上、学者さんや錬金術師、探検家みたいな人と相性良いと思うっす。あるいは命に興味津々のロボットさんなんかも素敵っすね。自然愛好家や廃墟に魅力を感じるロマンチストも来たれっす！

　立地、というか活動場所は巨大なキャンピングトレイラーっす。これで色々な場所へ行って現地泊まり込みで調査するって感じっす。一応事務所は別にあるけど、基本的にはあっちこっち走り回ってる時がほとんどっすね。

　今のとこは以上っす。ヒースモンドでした！

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各種設定
名称：Florum（フロウルム）
ユニオン活動：適性×5
ユニオン購入：素材or経験値