ENo.0064　タカムラ＝カミツ

act.04
『――。』
　呼ばれたような気がして篁は目を開く。周囲を見回したところで誰がいるわけでもない。静まり返る倉庫。どうやら＜ザイカ＞に寄りかかったままいつの間にか眠っていたらしい。
　記憶の端、夢の欠片。自分を呼ぶ声。腕を引く手。視界にちらつく、赤。
　……あれは、誰だったのか。
　見覚えがある、かもしれない。自分を呼んだ声は、覚えているような記憶がある。ただ、それは普段の、この名前ではなくて。別の呼び方で。
「……誰、だろ」
　ぼそり、と言葉に出すが、それに言葉は返らない。時間は深夜、篁しかいないこの倉庫ではとても静かだった。しん、と静まり返る、耳に痛いほどの静寂。
　はぁ、と小さく落とした呼吸の音に、何故か自分が生きているという実感を覚えて篁は目を伏せた。もう一度眠れるなら、それがいちばんだ。また明日も戦場にでは出るのだから。
　毎日のように戦場に出る、という非現実。
　そうして、それを自分が当たり前だと思ってしまっている現実。
　ここではない現実で、ヒトではないものを相手にしていた記憶がある篁にとって戦場自体はそこまで恐ろしいものではないが、やはり慣れないものだ。……元々、戦うこと自体好きではないというのはまた別として。
　溜息と共に目を閉じる。

『――。』
　
　声がする。
　自分を呼ぶ、明るい声。
　青い空、碧い海。それと、降り続ける雪の白。
　記憶の向こう。自分の手を引く暖かい手。視界にちらつく赤い髪。
　誰だろう、と夢を見る篁は思う。夢の中の篁は困ったように笑って、それから引かれるままに歩き出す。

　漠然としたものを感じる。
　――　　、と、言う。ものを。

残像領域のとある町の、ひっそりとした町はずれの倉庫街。
ひとりになりたいハイドラ乗りたちがいたり、いなかったり。


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と、いう設定のユニオンです。
ソロールするもよし、のんびりするもよし。
とりあえず制御と格闘の活動をよこせと言うのでも良し。
そんな適当ユニオン。

【制御3＋格闘2】【機動力＋3％】