ENo.0064　タカムラ＝カミツ

act.07
　踏み出され、近づく距離。告げられる言葉はまるで宣告のようにも響いて。妄想。後悔。普段は細められているその瞳の奥からうまく感情を読むことができないのは、波のように押し寄せる、まるで警報ともとれるような頭痛と耳鳴りのせいだろうか。
　違う。
　彼女はここにいる。そうして、篁に囁いている。
（……、）
　そのはずなのに、今、聞こえないのは。耳を支配するのは耳鳴りで、頭を支配するのは激しい頭痛で。彼女の声などひとかけらも聴こえてこない。
　いつもなら、そこにいるのに。触れた＜ザイカ＞からの声が、篁には届いているはずなのに。
「……ゆか、は」
　その声は、何と言っていた？
　篁を責めるでもなく。だが赦すわけでもなく。篁の思う通りに。……篁が、考える通りに？
（たかむら）
（ねぇ、たかむら）
（あなたが、）
　――あぁ、どこまで、が。
　正常に回らない思考。妄想だという彼の言葉をそうだと肯定する心と、違うと否定したい心が混ざりあって心をかき乱すものの、鳴り響く耳鳴りで掻き消される。ぐっと奥歯を噛み締めていなければ、倒れていたかもしれなかった。顔を覆って俯いて、深く深く息を吐き出した。
（そう、そうだ）
　覚えている。
　彼女は目の前で死んだのだ。目の前に広がる赤を、あの瞬間の喪失感と心が壊れてしまいそうな深い深い後悔を覚えている。
　忘れることなど、できはしない。忘れるなど許されない。
　あれは罪過だ。篁の中に、果てることなく抱いた罪過。
　忘れてなどいなかった。それでも、信じていたかった。
「あぁ――そうだな、そうかもしれない」
　震える声で口にした。一度は沈めた顔を上げた。目の前の彼に、自分は笑えていただろうか。
「それでも、ここに……ここにいるんだ」
「後悔でも、妄想でも構わない」

「……赦されたい、だけなんだ」

残像領域のとある町の、ひっそりとした町はずれの倉庫街。
ひとりになりたいハイドラ乗りたちがいたり、いなかったり。


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と、いう設定のユニオンです。
ソロールするもよし、のんびりするもよし。
とりあえず制御と格闘の活動をよこせと言うのでも良し。
そんな適当ユニオン。

【制御3＋格闘2】【機動力＋3％】