ENo.0340　NOB3

かぼちゃを被ったのには、もちろん臆病者の自分が顔を隠す場所が必要だったからというのもある。
ただ、本当は、もっと簡単な言葉遊びでもあったのだろう。
幼稚な願掛けだ。

煉獄を彷徨い続ける彼は、天国へ行くことも、地獄へ行くこともない。死すら忘れてさまよい続ける。

なれば、彼の姿でいる自分も、例え自分にとって危険な此処でさえ、彷徨い続けられるんじゃないか、なんて。

このかぼちゃを取れば、彷徨う事もなく、自分はただの、一人の平凡な技術者に帰れる。子供じみた空想だ。神に夢想するのではなく、悪魔に懸想するのだから、バカげている。
だが……まぁ。そこに心のよりどころが生まれるならば、それでもいいのだろう。
この戦場で、信頼すればいいのは、その伝承だけだ。
自分は彼だ。だから……彷徨い続けられる。
例えパーツだったとしても、自分は己だ。
己の命は、己が大事にしたって、構わないだろう。
決して、ハイドラは、自分の命なんかではないのだ。

あぁ、でも。しかし……彼に則るなら、道案内でも出来なくてはいけないのか。含蓄のある言葉なんて、自分の手足と一緒に吹き飛んでしまったというに。

■ Adolph Flugzeug- und Motorenwerke AG

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