ENo.0038　『至極の悪夢』ハンブルグ・ダーウェン

九週目。
ここに来て積載が足りないという事態に陥ってしまった。例の焼夷機関砲共が重すぎたらしいが、火力を考えるとおいそれと下ろすわけにもいかない。
仕方ないので、今回は仮設の操縦棺で出ることにした。我ながら生きた心地はしなかったが、狙われることは無かったのでまあいいだろう。とはいえ、今後こんなアホをやらかしても仕方ないので、整備士たちとも相談してアセンブル方針を固めることにする。…アイツの機嫌も損ねたくねえしな。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―――ハンブルグ・ダーウェン『残像記』より




※※※※



アメジスタ・カーネル
「…主？」
ダーウェン
「悪かった悪かった。これからはなるべくこうならんようにすっからよ」

愛機ヴィオラーケウスの操縦棺内で、ダーウェンは相棒に謝り倒していた。
今乗っている操縦棺は仮設の物ではなく、初期に大枚はたいて買った丈夫なものだ。仮設とは安心感が違う。

アメジスタ・カーネル
「いいですか。私があんな物見台みたいなところで管制するのはまだいいんです。よくないけどいいです」
ダーウェン
「マジ悪かったって」
アメジスタ・カーネル
「ですが、貴方があんな防御もクソもない物見台に乗せられた事は許しません。無惨な死でも遂げる気ですか？」
ダーウェン
「…そんなつもりは無かったけどよ」
アメジスタ・カーネル
「私に貴方を止められる身体が残ってたら首根っこ掴んで監禁してましたよ。…全く、無事でよかった」
ダーウェン
「ヤンデレかよ！！…ま、マジで反省してるからよ。二度とこんな真似する気はねえぜ」
アメジスタ・カーネル
「では、それも含めて反省文提出してください。私に」
ダーウェン
「勘弁してくれめんどくさい」
アメジスタ・カーネル
「最低2000字から4000字にします？」
ダーウェン
「だーっ分かった分かった！！書くから待ってろ！！！」

何時にないアメジスタの剣幕に、ダーウェンは若き頃のようにタジタジであった。駆けていくその後ろ姿は、決して伝説のパイロットではなく、うだつの上がらない一兵卒のものだった。

Cadenas射撃部になりました。