ENo.0245　クリス・バーミリオン

私のパートナー。アイザック・オブライエン。

彼は撃墜され、ユーティラスの生命維持装置に取り込まれた。
途方にくれる私の前にあの女が現れた。

ミーア・オブライエン。　本人曰く、アイザックの母親…らしい。

確かに血縁と言われれば違和感はなかった。親子というには彼女はずいぶん若々しかったが。
背丈は低くスマートで目付きが悪い。アイザックもだいたいそんな感じだった。
血よりも赤い瞳と、顔の半分を抉る傷痕がエグくて、一度見たら忘れられない女だ。

大破した操縦棺を回収に来たミーアに私は付いていった。
アイザックの恋人だと言ったら。露骨に嫌な顔をされたが…渋々同行を許してくれた。
どうやら「お養母さん」への第一印象は良くなかったらしい。
イイ感していると言うか、母ってそういうもんかと言うか。

今思うと、アイザックとミーアの関係は疑問と疑惑だらけだったが、
そんな事よりアイザックが助かるかどうかの方が心配だった。それしか考えられなかった。


ミーアに連れられて、初めてアイザックのガレージに入った。
そこは。私なんぞには理解もできない…ただ、ケタ外れに高度な設備が整えられた場所だった。
かと思えば、ネコが沢山うろついていて機械の上で丸まってたりしていたり。
誰の趣味だろうか？　ネコは…いま私は嫌いだが、アイザックは好きだったのかな？

ミーアはそこでは博士と呼ばれていた。子供と言っても差し支えない小柄な女だったが、
彼女らのグループの中で一番目上なのだろうことは伝わってきた。

そのガレージで一晩を過ごした。私にできることは無い。
ミーアたちがアイザックを調べている間、私はただ彼が助かることを祈っていた。



アイザックはもう目覚めない。　翌日、私はそうミーアから告げられた。



そんな答え、受け入れるわけにはいかなかった。
当然だ。泣こうが喚こうが、人間一人に与えられた人生はたった一度きりなのだ。
夢が、望みが、願いが叶わない人生なんて、これほど無意味なモノはない。
私はアイザックと生きていたかった。それが叶わないなんてことを。認められるものか。

ミーアは、脳が死んでいるとか、植物状態とか、私が理解できないし理解したくもない説明ばかり
並べ立てて、挙句の果てにまだ心臓が動いているアイザックの命を勝手に終わらせようとした。

彼女とひとしきり口論した後、一晩だけアイザックと居させて欲しいと譲歩を見せた。
もちろん一晩だけなんてウソだ。私は彼をミーアの手から永遠に救い出すことを考えていた。

いや。ほとんど考えなしに、私はアイザックが繋がったままのユーティラスを起動させていた。


追っ手は来なかった。大破しかけのボロボロのハイドラとは言えハイドラはハイドラだ。
ミーアたちには止める手段が無かったのだろう。そうでなければ。私は見逃されたのか？
ずいぶん雑なコトをしたと思うが、私は賭けに勝った。アイザックはもう私のモノだ。

後は彼を目覚めさせるだけだ。どうやって？


……………


『企業連盟の支配者達の中に1000年も生きている人間が居るらしい』
『ヤツらはソレぐらい高度な技術を持っている』

そんな話を聞いたことが有る。それはただの都市伝説かもしれない。
だが現実的にこの世界で最後に頼れるのはヤツらの技術力に行き着く。
ヤツらからすれば私なんて、ゴミ溜めをあくせく走るネズミのようなモノだろう。
そんな私がどうすればヤツらから技術を引き出せるのか？

金を積むしかないだろう。それしか思いつかなかった。他に私に何ができる。


保証も何も無い、まったくアテのない話。だが迷いは無かった。

アイザックを助ける。それ以外にやるべき事があるとは思えなかった。

１から始める培養装置！
整備技術の勉強に特化した研究ユニオンだよ。
エンジンの研究とかも副業でやるつもり！

※本ユニオンは毎回、整備を５振りです。
※ユニオン購入は経験値＋１固定。整備の高みを目指します。
※10～15更新くらいから死亡許容にすると思います。しばらくは死亡失踪の心配は無いです。