ENo.0296　ニック・イーフローク

こうして作戦前の待機時間に日誌を書くのは久しぶりだ。
いや、今は輸送中だがついたらすぐに動くことになりそうなので、事実上の作戦前の待機時間ということで前回とは状況がだいぶ違うのだが。
ここの輸送は基本的に無人機で運ぶことになっている。
といってもどこから持ってきたのか、非常に優秀な自立型のAIが搭載されており、暇な時間の話し相手をしてくれる事も含めて有人機同様の働きをしてくれる。あたっ
バックアップをたくさんとっても自我がどうとかなんとか難しいことを言い出して使い物にならなくなることもない。(導入したての頃は何やらリーダーさんがこのことについて不安がっていたらしい。)
作戦中はオペレーターさんはまた別の場所…自分たちの本拠地からサポートする形で…

【ドォン！！！】
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間一髪だった。何やら火気の発射音のような音が聞こえた気がして、とっさにハイドラを動かしたのが良かったらしい。いま地面にめり込んでいるあの砲弾も、あのまま動かないでいたら今頃この機体に見事に命中していたことだろう。そうしたらただでは済まなかったことは明らかだ。

鋼色のハイドラが遠くに見える。おそらくはあれが狙撃砲あたりで攻撃してきたのだろう。
レーダーや通信機器は動作してくれない。
あのハイドラ、もしくはその仲間が妨害電波か何かをばらまいているのだろう。
考えられる対処方法は2つ。
異変に気づいた仲間から支援が来るの待つか、
このまま1機であれを倒すか。
しかし…
再び機体を動かす。
遠くから発射音がし、自機のそばを砲弾が通り過ぎる。
…どうやら、一息ついて考え事をする時間はないようだ。