ENo.0516　如月

　69式デバイスの採用、およびパイロットデバイス68式丁77号の廃棄を決定。


　…………………………………………。


　組織から通達。
　次の任務では死亡許容での参加は禁止だそうだ。

　戦場がウォーハイドラの新システムや強化プランを多く実装した実験場となることは知っているが、パイロットの生還が重要な機能があったとは思えない。
　組織の都合。曖昧な言葉で濁したか。

　まあ、いい。
　それならそれで、試せることもある。
　新しい素体に乗り換えたデバイスも乗り気だ。


　…………………………………………。


　このところラボが賑やかだ。
　研究員各々が他ユニオンやライダーとの交流を試みていることに起因しているのだろう。
　施設の開放区画には外部の者の出入りも記録されている。

　今までが特殊すぎただけだが、ようやくチームの状態が一般化してきたか。

　だが、如月は、如月だ。
　ハイドラライダー量産計画の進捗に淀みはない。


　…………………………………………。


　パイロットデバイス69式甲01号を新規実装。

　戦闘人格および学習記録をバックアップからロード。
　コンディションチェック。

　生命維持……、正常。
　精神安定……、正常。


　さあ、出撃の時間だ。

残像領域のある場所。
ある都市のうちのひとつ、霧都市。

都市のはずれ、その中にひとつ、霧の中でぼんやりと明かりが灯っている建物が見える。

霧と混じる工房の煙。
ここは、ダガー工房。
ハイドラのためのダガーを造るための人々が集う場所。
硬質ダガーに魅せられた人々が集う場所。

今日もダガーの職人、技術者、お客、全然関係ない人。
いろいろな人物がいろいろな目的で集まっている。

その様子を工房の片隅で、
無口なバーテンが笑顔で見ている。


※説明
・ダガーユニオン
・【訓練】格闘*5　【購入】経験値+1
・雰囲気ユニオン
・片隅にショットバー