ENo.0076　マリエッタ

目の前に正座をするノエルを見下す僕。
恐らく今僕は、これでもか、と言う程に嫌悪に満ち満ちた顔をしているに違いない。


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「今日の寝不足解消法は、マリエッタ嬢が今密かにハマっているという膝枕にしようと思います。」

「君は一体何を言っているんだ。」

「嫌だなぁ、わかってる、く・せ・に☆」

瞬時にグーパンが飛んだことは言うまでもない。

「ふ、ふふ……だがしかしそんな事で負ける僕ではない！！さあ！マリエッタ嬢！！僕のココに！！」

言いながらノエルは己の太腿をぽんぽんと叩いている。

「ノエルのココ、空いてますよ？」

瞬時にコイツの太腿を踏みつけていたのは言うまでもない。

「大体ね、誰が膝枕にハマってるなんて言った！？僕はそんな事一言も言った覚え無いからね！？」

本当に。
いや、主の為を思って色々対策を練ってくれようとするのは感謝すべき事なんだろうけれど。
それにしても、コイツのはなんていうか、その。
変態染みている、というか。

「僕は知ってますよ。マリエッタ嬢、貴方があの幽霊の膝枕に安らぎを感じている事を。」

「何で知ってるんだよ。」

本当に。何で知って……、って、何で知ってるんだよ！！！

「固い枕がお好みですか。ならばこの僕のココ！ココも！何処も彼処も！！固くて良いですよ！！」

良くないよ！！というツッコミの代わりに飛ぶ平手打ち。
何だよ、一体今日は何回コイツを叩けばいいんだ僕は……。

「違う！固けりゃいいってモンじゃあ無いんだよ！アレはレナの膝だから良い……んだ……よ……。」

口が、滑った……。
気まずい空気の中、目を逸らして、そうして僕は、　全速力でその場から逃げた。


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「……。まあ、良い傾向なんじゃないですかねぇ。あのマリエッタ嬢が誰かに依存するなんて。」
「ああ、それが僕で無いのが悔やまれるところですが……まあ、いいでしょう。」

ええ、ええ。
反対などしやしませんとも。賛成も致しませんがね。
精々陰ながら応援して、嫉妬してやりましょう。
……“彼”の時の様に。