ENo.0493　陶玉

―人の手から離れて長いのであろう、煤で曇りきった窓ガラスを結露が伝い、歪なストライプ柄を描いている。
そこから差し込む日光は朧で、最低限の手入れしかされていない簡素な小部屋は、昼間だというのに薄暗い。
壁際に寄せられた書き物机に突っ伏すようにして、少年は居た。



「アー……やめだ、やめ。」


[廃墟の基地化を断念？]
「そも、街に出ていい機器を仕入れて、いいとこ数キロ範囲の回線を把握したところで、
　それで生きて行けるかって言ったら、いけないんだよ。」
「前提が違い過ぎる。現実逃避が過ぎた。」
「ネットワークが世の中どこまでも張り巡らされていて、
　技術さえあればどこにでも行ける世の中であったからこそ、僕はやってけてたんだ。
　運もあったし。」
[＊戦場での情報支援＊を＊収入元＊に設定は変更無？]
「他に出来る事があるなら教えてくれってくらいの話をしてたんだがな。
　…お前、こっちに来てポンコツが加速してないか？」

[パフォーマンスの状況を再確認...]
[电编梦5019-im02は正常に動作しています.tao-yuの生産的活動を円滑にサポート.]
「あっそう」
「…まあいいや。しかしクリスが心配になってきたな。
　彼、そういう意味では僕よりも重篤だから……無事に生きてるといいのだけれども。」