ENo.0323　第306特殊試験部隊

「報告書は読ませてもらった。メイヤード君。」
「結論から言えば我々の研究成果が不正に利用されている状況にある……といっていいだろう。」

エルコ市の市長室。報告を読んだ市長はそう答える。
もちろんそれは調査に赴いた我々がよくわかっていることだ。

あの異形のキメラと化したウォーハイドラ……
予期せぬ乱入者がいたものの、検証するに足る材料は得たことになる。


「あのシステムの中枢……コアブロックとパーツの抜かれた中佐のウォーハイドラ。
　そしてルフ・アフバルの破壊された中枢ブロックである小型脱出の残骸……
　これらから導きだされるのは明らか。パイロットは彼女だろう。
　残念なことではあるが、中佐ならば今まで雲隠れしている理由はない。
　彼女はまだ生きており、独自に活動するためにあれを動かしている。」

中佐から伺っていた話。あのウォーハイドラが独立して動くことはないのか、と聞けば
返ってくるのはまた知らぬ話でもあった。それはあのウォーハイドラが独立して動くにも
パイロットの存在は不可欠というものだった。

「あれは独立して動くためにではないよ。あれはパイロットの補助的効果もあるが
　パイロットと同調して教育され初めて高いポテンシャルを引き出すことが出来る。
　君が中佐のコンセプトと似たようなマシンを動かしても、耐圧服を着なければいけなかったが
　中佐はその必要がなかった。高い目的意識とモチベーションをも兼ね備えた彼は
　それがなくとも己の体のように動かしていた。わかるかね。完全に同調さえしていれば
　コクピット内の衝撃や遠心力など些細なものなのだよ。人間の体内がそうあるようにね。」

そして市長は引き出しから一枚、写真を取り出しテーブルに起き私に見せる。

「社として、元開発のとして……かの機体の破壊もしくは鹵獲を依頼したい。協力者を募ってもかまわない。
　特にあの中枢システムは……私と中佐が始めたもの。今の姿、状況は慙愧に耐えないものだ。
　事態の早期解決を私は望むよ。試験が終わった今……それは中佐とて同じ考えのはずだ。」

私と彼が……中佐のウォーハイドラがまだ実証機であったころからの付き合いだったというのは
知っていたかね、とか。彼にはあの計画については大変世話になったとの話が聞こえてくる。

だが私はそれらはどうでもよかった。
どうでもよくなっていた。

あのネッサ・ガラヴァンがまだ生きており戦う機会がやってきたこと。


そして何よりあの機体に近づいた時……確かに中佐の声が聞こえた。

敵を殲滅せよ、と。

その言葉が私の全てだ。

我々アフラムインダシトリィは
企業都市キルガールを拠点にする企業ユニオンです。
歴史は古く自由都市時代からの重工業産業の組合を基としており
現在は企業年として軍需重工業を中心に各種ウォーハイドラの武装、また装甲兵器の生産を行っております。
当領域等には現地での需要調査、およびウォーハイドラパーツの研究開発試験
並びに販売を目的として今回は参入させていただいております。
どうぞよろしく。

■今回のお知らせ。　[第２０週]
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
現在エルコ市での再建計画が進行しておりますが市長より本日エネルギー供給施設の稼動時期について会見が……

また新たなエネルギー炉は二つ存在し新造したジェネレーター事業にはドクター・ゴトーが……