ENo.0579　オルハ・Ｄ・マインド

ハイドラはハイドラ同士で交戦しているように見えた。

つまり…、つまり、だ。

「あそこには人が居るってことだよな！」
オレ一人じゃなかった。スクラップの山で残りの人生を過ごさなくていい、ということだ！
と、盛り上がっていると
「通信が入りました。繋げます」
「へ？」
「――ザーーッ、こちら……ザザッ……、味方なら……応答…願う――ザーッ」
「……」
とっさに返答するべき言葉が見つからない。
どうしたものか。
確かに人が居るところに出たいとは思っていた。
でも、これは、
「――これに…参戦しなきゃ、なんねぇってことか？」
確かにハイドラは作った。拾ったパーツで。でもそれは、あの広い広いハイドラの墓場を抜けるためだ。
戦おうと思ったわけじゃない。
「――戦況が……味方機なら…参戦を――…ザッ…ガガッ」
「応答をしますか？」
「……」
「信号で送ることもできます」
「……」
「応答を――」
「今、ちょっと考えてっから！！！」
「……」
「……繋げろ」
「了解しました」
「オレはオルハ、このハイドラはアラクオーン。…元の世界、別の世界に行くまではそっちの味方だ。参戦する…！」
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「はー……」
「どうしましたか」
「どうもこうも、こんなことになるなんて。それに、こんなモンまで」
オルハのポケットからは銀色に光るカード。
「ライセンスカードです」
「それはもう、知ってる。さっきも聞いた」
ハイドラに乗るのにはライセンスが必要らしい。
この世界のことを知らないし、それにこのカードにも全く気がつかなかった。
いつの間にか荷物に紛れ込むようにおいてあったのだ。
「なんなんだよ、もう……」
自分が思っていないところで見えないナニカに振り回されているようだ。

そんな風に浸っているわけじゃないけど、考えている時。
「マスター・オルハ」
「……なんだよ」
「マーケットのカタログリストが更新されました。表示しますか？」
「はー……」
こいつが何か知ってるかと思ったけど、結局オレが知りたいこと、本質には何も応えない。
でも、とりあえず。暫くの間は――
「よし、表示してくれ。何を買うか考えなきゃな」
ここで生活…いや、生き抜かなきゃいけないわけだ。
まずは慣れないとな。ここで。ハイドラで。ハイドラライダーとして。

オルハが臨時で作ったユニオン。
反応をあげ隊。