ENo.0026　シャンク＝タイラー

夜の帳が下り、霧深い空に闇が混じり始めた時分。彼はガレージで整備費用を眺めその額に苦虫を噛み潰していた。

――我ながらとんでもねえ間抜けだったぜ……　あんなもんは所詮お遊びだってのに、何をやっていやがる？
どいつもこいつも熱くなりすぎなんだよ。周りの連中はまるきりアセンブルを変えてやがる。一体いくら金をはたいてんだ？
暑苦しいんだよ

絶望的に不味いハズレの缶コーヒーを飲み干すと、テイクアウトのピザを手に取り即座に口直しをした。

だが……　お遊びとは言えくだらねえハンティングなぞよりかは遥かに手応えがあった。そりゃ確かだ
一方的な狩りじゃ戦場の空気は得られやしねえ。俺がガキの頃から吸ってきた空気……大分久しぶりに感じたもんだ

あん時はただ必死で、次の瞬間には何もかもがグチャグチャになっちまって――　俺は何故か分からんが偶然に生きていた。

――やはり矛盾してんな、どうも
ハンティングで何が悪い？楽ができていいじゃねえか。戦場の空気？それで死ぬつもりはない、だ？　まともじゃねえよ
こんなもんはルーチンじゃねえのかよ？何がしてぇんだよ。おめでてぇな

彼はゆっくりと大きく息を吐き、椅子に座ったまま目を瞑った。

――そういや酒を切らしてたな……　買い出しにでも行くか