ENo.0406　ファイブカード

　
メフィルクライアという人は知っている。
少し前まで私の仕事の仲介人を務めていた人。
少し前に“事故”で亡くなった人。

そのメフィルクライアを名乗る人から連絡があったのはつい先日のことだった。
何事もなかったかのような普段通りの口調で、ストラトスフェア要塞の情報を伝えてきた。



こういうことは、残像領域ではそう珍しいことでもなかった。
戦死したはずのライダーの機体が再び、みたび戦場に立ち戻る。
とっくの昔に行方不明になったはずの部隊が今になって姿を現す。
私もだいぶ前に（どれくらい前だったっけ？）初めて残像と呼ばれる現象を目の当たりにした時は本当に驚いたけど、
今ではそういうものだと慣れてしまった。

でも、生前の行いを繰り返すでもなく、あたかも生きているかのように新しい情報を新しい言葉で語る……
そんな残像なんているんだろうか。
そんなの、生きている人とどう違うんだろうか。
もしかしたらあれは本人を騙る偽物なんじゃないか。
だって、死んだ人はどうしたって死んだままで───



厭な頭痛がした。
あの残像は、霊障までも運んできたんだろうか。

早く成仏しますように。

かつての乗り手たちの遺したもの。

今は大型のレーザースコープとしてここに在る。
常より射撃の訓練、あるいは実戦に用いる者がいる。