ENo.0071　パアム・ライザ

あれから、一週間が経った。
私は抜け殻のように時を過ごしていた。
これを機に、妻や、娘とゆっくりと時を過ごすのも悪くはない、と思いはしたが、
その娘からして、抜け殻のようになっていたのだ。

妻は言う。あの子、お父さんのやりたいことを手伝うのが夢だ、って言っていたから。
　　　　　　　だから、目標が無くなってがらんどうになっちゃったのかもしれないね。

私が発起人となったプロジェクトに、娘がそれ以上に思い入れていたのは、ありがたくもあり、
同時に、娘の将来を決めてしまい、狭めてしまい、挙句それを失わせる事になったのは、とても申し訳ない気持ちになった。

――しばらくはゆっくり過ごして、ゆっくり決めれば良いのよ。だって、今まで培った技術が消えるわけじゃないんでしょ？

その通りだ。まだまだ、頓挫したとはいえ、研究の余地はある。
だから、娘と二人で、いや、研究チーム全員で、前を向こう。

眠っているプレディを記念碑代わりに横目に見ながら、皆で新たな研究を初めた。
生体工学を応用したそれは、私達の新たな子供。二人目のプレディになると期待される物。

順調に進み、皆、立ち直ることができたと、
そう思っていた矢先だった。






現政権への、クーデターが勃発した。




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「流石にランキング入りは無理でしたね」


煌々と光る電子掲示板に並んだ、コロッセオのランキングを仰ぎ見る。
錚々たる面子が並んだその中に、私の名前は無かった。
一位はギルデンロウ。収入ランキング現在二位、ランキング常連の強者。

その下も、その下も、その下も……
並ぶは、錚々たる面子。しかし、中には見慣れない名前も有り、やはり誰でも、可能性はあったのだ。

今回の役割上、戦場で評価される項目では無かったため、ランキングには乗れなかったのだと
次回、あれば、私でもできるのだと。
そう思わせてくれる結果だった。


「さて、と。やりますかー！」

「どうしたんだ？いやにやる気で」

「ちょっとやる気出ました。いい刺激になりましたし、情報交換もできて、貴方をアップデートしたくなりました！」

「……ま、程々にな」


掲示板に背を向け、自らのガレージに向けて歩き出した二人。


「また、来たいな」


しかし、二人は見過ごしていた。
掲示板の下部、小さく表示されたそれは。


"642 泉沢　翔子はランク外になり死亡した……"

「研究って何を研究するんだ……？」

「……貴方を利用した兵装とか」

「勘弁してくれ」