ENo.0176　クロムノート・ウェルサキオン

『落書きは企業連盟の威信を大きく傷つけたものの、損害じたいは軽微であり、コストに見合わなくなったと思われます…』


雑音混じりのラジオから流れるニュースを聞き流しながら、クロムは酒を飲む。
酔えないと知っている以上、こんな不味い飲み物を飲む理由なぞひとつたりともないのだが、腹は減らない、眠くもならない、する事もない、ぼーっと過ごすのにも限界はあるし、かといって用事もなく誰かに会いに行くような積極性もない。
となれば、後はマーケットを漁るか、ジャンクパーツを求めて戦場を漁るか、さもなければ酒を飲むくらいしかクロムには思いつかなかった。

マーケットの方は早々に済ませてしまったし、パーツに関しては戦闘が終わった直後に行かなければめぼしいものは大体奪われているから行く意味がない。
小競り合いこそ多少あるものの、大掛かりな戦闘はおおむね1週間に1度のペースなので忙しいのは1週間のうち3～4日程度。残りの日数はひたすらに暇を持て余しているのだった。
僚機のシニカならばどうしているかと考えたが、あの女の事だ、やる事がなくなれば3日くらい身動ぎ一つせずにその場で待機くらいは平気でやりかねない。

「……そういえば、戦火を広げるのが目的だったか？」

誰に言うとでもなく呟く。
とはいえ現状を見るに、もうクロムが何かしなくても勝手に戦火は広がっていっている。
むしろピリピリしているこの時期に下手に出て行こうものなら集中攻撃されかねないから、これまたやることがない。

『本日のニュースです。企業連盟本社ビル120階外壁の落書きについて、企業連盟は調査チームを解散したことを発表しました』

つい1時間前にやったばかりのニュースが繰り返される。
酒を飲むのにも飽きてきたクロムはソファに寝転がりながら、今まで聞き流していたラジオに耳を傾ける。


『書かれていた文字、「MIST UNSTOPABLE UNCOUNTABLE AND UNBREAKABLE」は様々な憶測を呼び……』

（霧は制御不可能で、計算できず、解析もできない…？　…いや、考えるだけ無駄か。意味なんざ当人以外にわかるものかよ）

ぐびりと酒を飲む。

（ただまあ、一つ分かる事はある。事実はどうあれ――こいつは、警告だ）

近々、また誰かが死んで、炎は誰にも止められぬ程に燃え広がるかもしれない。
クロムはその情景を想像し、にやり、と楽しげに笑った。

戦争！　戦争！　戦争だ！
喜べよ下種畜生ども。地獄のラッパが響いてきたぞ。
俺達が呼ばれている。
多くの血を流すため、多くの命を踏み潰すため、多くの死を広げるために。地獄の戦鬼が。

よう戦友！　アンタが求めるのは血か？　金か？　闘争か？　栄誉か？　はたまた正義なんて求めてるのか？
まあ、いいさ。どれだって。御大層な理由だろうがクソみたいな理由だろうが、やる事も同じなら逝く場所も同じなんだからよ。

どうあれ、ここにいるって事は俺と同じく戦争をより盛り上げたいってイカレ共だ。
死体と涙と恨みと鉄屑を空高く積み上げたいって、死んだら地獄行き間違いなしの畜生共だ。

同じ死体を漁る野良犬同士、せいぜい仲良く分け合っていこうぜ、なあ？

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格闘反応な命が葉っぱ勢のあなたに。
ユニオン活動は格闘×3　反応×2 → 格闘×2　反応×3の順で更新毎に変更していきます。

10人の状態で死亡者が出た場合、また2更新以上行動しない場合は参加許可を外す可能性があります。ご了承ください。

ユニオン購入は何かしら意見あるまでは機動力＋3%を予定しています。