ENo.0227　amnesty incinerate

いつから『そう』なったのかはわからない。

中毒としか言いようがないいほど炎に魅せられて、俺は火を点け続けた。


特に、炎が与える変化が好きだったんだと思う。


燃える炎に憧れを抱き、
焼ける肉に興奮を覚え、
焦げる匂いに安堵を感じ、
残る炭に美を見出してた。


そうやって火を点け続けて、捕まる頃には満場一致の死罪。
そりゃ当たり前だよな、あんだけ殺ったんだし。


裁判ンときにも、死刑執行ンときにも
「人でなし」
「バケモノ」
だの言われまくったのを覚えてる。

「バケモノ」って泣きながら叫んでたねーちゃんが、また脂のってて良く焼けそうだったんだよな。
あのねーちゃんを焼けなかったのが、俺の人生最期の心残りだ。


──ああ、これは凄くどうでもいい余談なんだが。
「どうせ殺すなら火あぶりで頼む」って頼んだんだが却下された。



そうやって処された後、なんやかんやあって俺は『リサイクル』された。
火を扱うにあたって実地経験の多い専門家が欲しかったとかそんな理由らしい。


今の生活も、実のところそんな嫌いでもねえ。
いや、生きてないんだから「生」活ってのは齟齬があるが。

なにせ大っぴらに炎を撒き散らかしても文句言われるどころか、賞賛されるんだぜ？
熱も匂いもわからねえ体ってのだけがちょっと残念だが、最高じゃねえか。


そんなわけで、次の任務地とやらに選ばれたコロッセオとやらもそれなりに期待してたんだ。
炎って芸術品を大人数に見せる機会なんて、生きてる頃にはなかったからな。
こいつぁ腕の見せ所だぜって。


……思ってたんだけどなあ。


　 ﾏｼﾞ
「本気カヨ・・・　今マデデ　一番笑エネー　冗談ダ」



燃えもしない槍を持つための腕。
敵を見るための頭。
そして走り回るための二脚。


　　　　ｵﾚ
『人でなしのバケモノ』に与えられた今回のハイドラは、『人』の形をしていた。

amnestyシリーズへの支援や改装を行う研究機関。
希望者がいれば経歴・条件問わずに整備支援が受けられるものの、
機体のデータを必要以上に取られると言う。


※基本「死亡容認」なので、設立し直す場合があります。
　その場合は以前の参加者全員の許可を飛ばします。