ENo.0569　ミカ・ミレーミ

霧の立ちこめる廃墟。 その中でガラクタを漁る音。


「……なーんも出来んのに何やってんだかな。
　路銀稼ぎにハイドラ傭兵たあ聞いたことねーよ」


機体の外装にあしらわれた、柑橘類の絵。


「流石棺桶さな、ご丁寧に火葬までして貰っちまって。
　と、浅田、棺だけ切り離して持って帰っべ」


『OKOK、帰還中は左プライマリ使用不可に注意されたし
　……ところで、この戦死者はミカにとって誰ゆえに？』


切断音もほどほどに、容易く切り離される亡骸の四肢。


「んー？ ああ、私の親父だよ。
　掴みどころはないし、器用貧乏な半端者でな。
　……いい歳して一人旅っつってどっかに行っちまったが最後、この有様さな」


『そうか、それはご愁そ、傷様だぞ』


「……そういう時ぐらい噛むなや、バカタレ」



ツッコミをいれる娘の声は、少しだけ震えていた。

残像領域のある場所。
ある都市のうちのひとつ、霧都市。

都市のはずれ、その中にひとつ、霧の中でぼんやりと明かりが灯っている建物が見える。

霧と混じる工房の煙。
ここは、ダガー工房。
ハイドラのためのダガーを造るための人々が集う場所。
硬質ダガーに魅せられた人々が集う場所。

今日もダガーの職人、技術者、お客、全然関係ない人。
いろいろな人物がいろいろな目的で集まっている。

その様子を工房の片隅で、
無口なバーテンが笑顔で見ている。


※説明
・ダガーユニオン
・【訓練】格闘*5　【購入】経験値+1
・雰囲気ユニオン
・片隅にショットバー