ENo.0093　メーネ＝"クルーク"＝フライス

ハンガーが、にわかに騒がしくなっていた。
エルフ特有の長い耳をそばだてて聞いていると、
軽量・高速仕様に換装し、更に格闘まで行ったジッテのフレームが相当にガタガタになっていて、
継続して使用するのであれば後方の生産設備まで送り返した上で
大幅なオーバーホールが必要になる、との事だった。
かかる期間はおよそ1ヶ月。

そもそもが廉価仕様の安普請な機体だ。高速機動に耐えられるはずが無かったのだ。


整備班「あのジッテは試作機の中でも最初期ロットですからね。あの機体で得たデータを元に、
より良くなった試作機が制作される事でしょう。
…最初期品を使い続ける意味もありませんし、メーネさんが乗っていたあのジッテは
修復を終えた後には本社ビルのミュージアムとかに展示されるんじゃないでしょうか」


メーネ「…そうなの。
なんだかんだキツいクソみたいな仕事だったけど、これで最後となるとなんとなく寂しいわね」


整備班「歩行ぐらいはできるようにしておきます。最後の積み下ろしだけ、メーネさんがやりますか？


メーネ「…そうね、最後にそれくらいは。
本社に運ぶのよね？　じゃあその足でお給料貰って、あなた達ともさよならね」


整備班「え？」


メーネ「え？」


整備班「終わりませんけど」


メーネ「なんでよ。ジッテでのデータ収集は終わったし、そもそも乗る機体が無いじゃない」


整備班「メーネさん、契約書ちゃんと読んでます？
たしかにジッテでのテスtパイロットはこれにて終了ですが、
”出撃回数”での契約だったハズですよ」


メーネ「…え？　いや、でもホラ…機体…」


整備班「実は、弊社が10年ほど前にリリースした”コダチ”という汎用機体がありまして。
この残像領域では、10年という月日はあまりに残酷で、もう型落ちもいいところなんですが
これを近代化改修してなんとか延命できないかな…みたいなプロジェクトが――」


メーネ「やだ！　やだーー！！　旧世代のオンボロ機体やーーーだーーー！！！」


整備班「大丈夫です。性能の不足は把握していますので、基本的にステルスで支援する――
今までのメーネさんの戦い方でイケる機体仕様になっています！」

かくして、盆休みの時期には既に運び込まれ、おおよそ1ヶ月をかけて調整が施された機体、
「コダチ改」への乗り換えを余儀なくされたメーネであった。

兵器メーカー、畝木（うなぎ）重工が管理する広大な射爆場です。
この度、社員以外の一般の方々にも解放させていただく運びとなりました。
弾薬やターゲットドローン等は当社負担で提供致します。
射撃能力を伸ばしたい方、無料の弾丸をとにかくぶっ放したいだけの方、
資格は問いません。どうぞご参加下さいませ。

※スペースと当社予算の関係から、募集は先着で限定10名様となります。
※ユニオン活動は射撃×5の射撃特化ユニオンとなります。
※破壊したターゲットドローンの残骸は買い取りしていただけます。
　ドローンとは言え、当社自慢の逸品です。
　残骸から何かしら有用な部品が入手できるかもしれません。
　（ユニオン購入は素材+1となります）


※射爆場内での射撃・機動のデータは畝木重工が観測・記録し、
　当社製品の技術開発に転用させていただく場合がございます。