ENo.0070　ユリア・クールハート

『ＴＵＲＮ３３：三匹が来る』

　一人目の名前は、ロバート・アスゲイ。
　荒れ果てた世界を再生させる万能の機体を、己が世界の支配者となる為だけに乗り倒していた科学者。
　接続者（スタブ）を使い倒してはゴミのように捨てていた下種だ。
　ユリアの『白の神（ベルボーグ）』が『世界の始まる場所』で討ち果たし、機体ごと地の底へ沈んでいった。

　はずだった。

　二人目の名前は、ブラッド・フェイオン。
　血塗れのような機体を操る狂人。
　自分の思い通りにならなかったから、と恋人を殺した、こいつも下種だ。
　アスゲイの手先としてユリアの前に現れ、接続者の資格を剥奪されたセロを利用して、好き勝手に暴れていた戦闘狂だが、やはりユリアに倒された。

　はずだった。

　三人目は……名を挙げるのも億劫だ。かつての立場から、仮に『教官』と呼んでおこう。
　自分の生徒を打ちのめして、血を吐き這いつくばる姿を見下ろすのが趣味の、下種中の下種。
　後にユリアとは敵として戦場で出会い……どうしたかは覚えていないが、ユリアが生きている事から、討ったのだろう。

　はずだったのに。

「通信を送ってきたのは、この三人だ」
『成程。こちらが「三位一体（トリグラフ）」なら、向こうもトリオか』
『でも、話を聞くだけでも、仲良くやってるとは思えないんだけど』
「私への復讐という、利害の一致があるんだろう」
「とにかく、奴らはこの機体を『死神（チェルノボーグ）』と呼んだ」
『チェルノボーグ。ユリアが元の世界で最初に乗ってた機体と同じ名前だね』
『だが、死神としての機能は真逆だな。敵を倒す機体ではなく、乗り手を破滅に追い込む。向ける鎌が正反対だ』
「これでわかったよ。私達がこの世界に来た理由も。『トリグラフ』が与えられた訳も。『ザヴェーニエ・システマ』が隠されていた事も」
『なんか、ううん、すごく悔しいよ。今までの僕らの必死な戦いも、向こうにとっては、鼻先で笑うお遊びだったんだ』
『……で』
「で？」
『どうするんだ、お前は、この後』
「……愚問だな。いくら私の記憶が欠落してゆくといっても、つい先日交わした問答だ、覚えているぞ」
「私は戦い以外の生き延び方を知らない。戦い続ける、最後まで」
『ユリア』
「私は倒す。奴らを、この機体で」
「だから、付き合わせて悪いが、最後まで一緒に来てくれるか、エルシス、セロ」
『僕は君の相方だもの、地獄の底でも一緒に行くよ』
『「袖触れ合うも他生の縁」という、ジャパンの古い諺があるという。こうなるのは、必然だったんだろう』
「……ありがとう、二人とも」
「とはいえ、奴らもぎりぎりまで姿を現しはしないだろう。『ザヴェーニエ・システマ』が決定的に発動する時まで」
「それまでは、目の前の戦いをこなしてゆくしか無いな」
『任せて。サポートは僕らの領分だから』
『電子サリガニの「エレちゃん」もこのところ、元気を失くしていたからな。ライダーが気力を取り戻せば、多少は回復するだろう』
「はは。電子ザリガニの話題も久しぶりだな」
「じゃあ、行こうか。いつも通りに、戦場へ！」

To be continued...

Reinclaft-Millia Service

数年前にできた、残像領域の片隅の整備屋。
相場よりほんの少し高い値段で、ウォーハイドラのみならずライダーも整備する。
早い話が、機体のメンテをしに来るついでに、店主が常々作りすぎる飯のおこぼれにありつける整備屋である。
飯だけの利用も歓迎だが、この店にはメニューはない。店主が作りすぎたその日の飯が出されるだけである。

！店および店主（ENo.4）の既知可
！ユニオンに参加せずメッセで利用する体も歓迎
！ロールするキャラを推奨するかも

細かいこと：http://midnight.raindrop.jp/milliapede/union.html