ENo.0574　言語魔術師アリューカ

　青空の下。オッティアという相棒と共に、僕は戦場に立つ。

「新世界だか新人類だか知らないが、僕の邪魔になる奴は！　みんな打ち倒すッ！」

　僕が残像領域に飛ばされた理由は分からない。
　でも、オッティアと出会うことはたぶん運命だったのだ。
　そして、パドと結ばれることも、同じくらい大切な、運命だ。

　だから僕は、運命をねじ伏せて、帰還を成し遂げる。

　オッティアは音速に近い速度で戦場を駆け抜ける。
　耐粒出力電磁ブレード『セラフ』が、敵をバターのように切断。
　背後から、爆発四散する音が遅れて聞こえてくる。

　オッティアは格闘機だ。そして、毎週のようにオッティアは強くなってきた。

　限界駆動を導入し、
　格闘威力増を上げまくり、
　足を逆関節から中二脚に変え、
　オーガアームのスタイルを選択し、
　シフト格闘を採用し、
　ブースターを積み増して、
　……エトセトラエトセトラ

　オッティアに、ウォーハイドラに、完成など無い。無敵さえも打倒して、全ての理を破壊するのみ。

「最後の敵機、沈黙」オッティアが呟く。

「なんとか今回も、言の葉を紡ぎ終わったか……」アリューカが落ち着こうとすると。

「アリューカ！　遠方に未確認機多数！」

「敵の増援かな？」アリューカは軽く言う。

「いや、こいつら……残像……友軍だ。既に使われなくなった大隊登録番号を送信してきている」

「へえ？　ここにきて味方が増えたか。戦いやすくなって、いいことだね」

「おっと、アリューカ。そろそろ時間だぞ」オッティアが言う。

「分かってるさ」

　残像領域に超巨大霊障『ワールドポータル』による、魔方陣が描かれる。

　数の暴力によって、繰り返し繰り返し強化される霊障。その極み。
　過去何度も、この霧の中に異邦人は紛れ込んできた。
　それが一人、故郷に帰るのだ。

「……くっ！……霧濃度が足りない。電磁波もだ。根拠は無いが、電磁波の低い日は霊障が発生しづらい。
　アリューカ、このままじゃ『ワールドポータル』の生成に、失敗しちまうぞ！？」

「大丈夫だよ、オッティア。おおむね予定通りだ。……戦うんだよ。
　敵は無尽蔵に沸いてくる。戦って、戦って、戦っているうちに、霧濃度も電磁波も上がる」

「アリューカ……」

「自分の力をじゃない。皆の力を信じるんだ。超巨大霊障『ワールドポータル』は開く。そこを、一気に駆け抜ける！！」

　ブースターを点火。加速。WH『オッティア・ザ・ライアー』は火花を散らしながら、音速を超えて戦場を駆け抜けていく。
　その機体の名には、『最高の嘘吐き男』という意味が込められていた。

■説明
　霧の中、残像領域にうっかり紛れ込んでしまった異世界の人専用のユニオンです。
　ユニオン活動は格闘*5です。ユニオン購入は素材+1ですが、柔軟に対応したいです。

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　警告 警告 警告 警告 警告 警告 警告 警告

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……るか……えるか……聞こえるか……
……今……私は……世界を超えて語りかけている……
……元の世界……異世界に故郷を持つ者たちよ……
……集まれ……集うのだ……帰還……めに……

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　ワールドクラッキングを検知しました。
　逆探。対象を特定。シャットダウンします。

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「青空を見たのは、何時のことだったか」
「夕焼けを見たのも、だいぶ前になるねえ」

そんなことを呟いても、得られるものなど、何もないというのに。
自称＜訪問者＞たちは集い、情報交換し、切磋琢磨し続ける。

霧の果てにあるものが、故郷よりも大切なものかもしれないと思い始めたとき、
その瞬間に大義名分は朽ち果て、残像領域こそが真実＜リアル＞なのだと気付くのだろう。

デイドリームビリーバーは死ぬ。でも、せめてそれまでは。