ENo.0036　ミロク・イツコ

以前私は内宇宙の第135天惑星で貨物宇宙船のレーダーマンをやっていた。
レーダーマンの家に生まれ、曾祖父母祖父母父母に倣い私も普通に就職して普通に配属された。

私が生まれたコロニーでは家系や血で明確な能力差がある。
私は生まれながらにレーダーマンに向いている察知器官を脳に有していたのだ。

レーダーマンとはその優れた察知器官でレーダーアンテナと繋がり、制御から送受信から検波などなど、すべてを行う職業だ。
とはいえ、四方八方に素早く電波を送り、その跳ね返り状況を手元のタッチパネルで艦内に飛ばしてあとは各部署が運行状況などを決め、たまに来る外宇宙からの船と軽い戦闘などをする程度の簡単な仕事だ。

さて、普通のレーダーとレーダーマンとの違いは、見えないものも検知するところ。
機械ではなくレーダーマンが使われるのはそれが大きい。

この感覚器官が人類の中で覚醒したのは、内宇宙と外宇宙が繋がったときだと記録にある。
もとはただの宇宙だったが。もうひとつ宇宙はあり、そこに住む生命体が向こうから道をこじ開けてやってきたのだ。

だが、その姿はほとんどの人類には見えず。
けれど、ごく僅か認識できる者が現れる。
（一斉に、頭の中で何かが開く音がした、と当時の記録にはある。これが私の先祖達だ。）


ならば見えるものが見ればよい。
外宇宙からの侵入者は、姿が見えないと脅威だがたいして強くはなかった。
見えるものが居場所を捕捉し、返り討ちにし、今度は我らが外宇宙に侵略行為をという流れにはなったものの。

外宇宙には正直私たちが欲しいものは何もなかった。存在形態が違うのだろう。
よくわからぬむにゃむにゃとした空間をむにゃむにゃとした者たちがそれなりに生活してはいるが。
それなりだった。
いまだ調査中だが、果てすらない。
彼らが道をこじあけたと言ったが。それは鍵などかかってすらいない状態だったのだ。ふとこぼれ出てきた。というのが正しいかもしれない。


大きな出来事ではあったが、おかげで大事には至らず。

それでも外宇宙の輩はむにゃむにゃとあちらでいう宇宙船のようなものでこちらに侵入してはよく船にぶつかり、コロニーに降り立てばむにゃむにゃとコンクリートなどを舐めて腐らすなどした。

強くはないが放っておけば嫌なやつらだった。

それが今でも延々と続いている。


そんなこんなで、日々の単調な仕事に私はすっかり飽きていた。
煙草をふかしながら船内をぶらついていると。
廃棄予定の宇宙ゴミの中に、きら、と光るものを見つけ思わずそれに手を伸ばした。
中には有用な鉱物がまだこそげ落とされず残っている場合もある。
しかしそれは銀色のカードだった。
誰かが作業中に落としていったのか？
拾い上げて裏を見るとなんとはなしにそこに自分の名前を見た。
実際に書かれていたわけではないが。
私は察知した。

成程。
私に来いと。

そう、外宇宙の輩がこちらへ来た時のように。
私もこのカードが生まれた所へこぼれ落ちて行くことができるのだおそらくは。
ピンとくると早かった。
休憩が終わる交代の時間だったが私は持ち場に戻らず、小型宇宙潜航機に乗り込む。


見える。

それは出口か入口か。

ゆらゆらとこぼれ落ちた先は霧に包まれたこの世界だった。



第135天惑星…134回滅び、135回目に蘇った惑星であると宇宙歴書『惑星元記』に記されている。

営業時間 AM11:00～AM 9:00
※最終受付 AM 8:00
（AM 2:00～AM 5:00は入浴できません）
　　　　　　大人　600c
　　　　　　子供　300c

朝風呂料金
(AM5:00～AM9:00までのご利用料金)
※最終受付 AM 8:00
　　　　　　大人　300c
　　　　　　小人　100c
深夜追加料金 (AM2:00以降)
　　　　　　大人　400c
　　　　　　子供　200c
岩盤浴

　　　　　　大人　300c
　　　　　　子供　100c

回数券料金 (20枚)15000c