ENo.0440　ヴィラカティ

[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]



避けたはずだ。

アウトレンジから覗き込む霧の奥深く、落とされた影の更に先を狙っていた。
その攻撃の性質を知ることはヴィラカティには出来なかった。


（音楽が聞こえる…………）


「…ふ　ふ　　ふ」

[通信「どうして、そこまでに……」]



ヴィラカティはこれ以上動けなかった。
指一本も動かせなかった。
だが、満足していた。
燃え尽きた灰の混じる霧の中で、心から満足していた。




―――
「よく生きていたね」
深い皺を刻んだ顔が覗き込んでいた。
整備士の老人トマス・ゴメスだ。

「わたしもそう思うわ」ヴィラカティは答えた。
気を失っている間もけたたましく警告音が鳴り続けていたのだ。
操縦棺の中から確認できなくとも、
ハイドラは酷い状態なのだろうと思っていた。

「サンサーラは無事だよ。」
トマスは隣の格納庫で眠るハイドラの装甲版を軽くノックした。
「医療チームの人が診てくれたが、
君も見た目より大した傷じゃあないそうだ。よかったよ」


外が見たかった。
トマスが淹れてくれたコーヒーを手に、格納庫からバルコニーに出た。
「嬉しそうだね」トマスがヴィラカティの背を見て言った。
「えぇ…」


「目が霞んで　もうダメかしらって本当に思ったの」
「でも次の瞬間には目が覚めていたわ　はっきりと見えていた
弾はいくらでも霧の先に届いた　その時、わたし思ったの」

「父もきっと　この霧の中で生きているわ……」