第15週目 ゴーグルの少年の一週間
NEWS
本日のニュースですセクション攻略の続報が入ってまいりました
セクション・5の先に続いていたのは、長い長いエレベータです
遺跡巨人最下層に何があるのか、何を目にするのか
我々は待つしかできないのでしょうか
(巨大な円柱型エレベーターの動画)
(ハイドラ大隊を乗せたフロアが、ゆっくりと下に降りていく)
マテリアルベルト発動機担当『レオ』からの通信 「私は……何と戦っているのだろうか」 |
マテリアルベルト発動機担当『レオ』からの通信 「使命、命令、そして救済。あらゆる責務がのしかかってなお」 |
マテリアルベルト発動機担当『レオ』からの通信 「私自身の言葉が、見つからない。戦う……破壊する……その先には?」 |
マテリアルベルト発動機担当『レオ』からの通信 「私は、何がしたかったのだろうか」 |
????? 「もしもし、私だ。元気でやっているかな? まぁ、君のことだ。心配いらない、ということだな」 |
マテリアルベルト発動機担当『レオ』からの通信 「お、伯父さん!!?? ダメだよ、私用通話を……」 |
????? 「フーーーーーッ、水臭いことだな。遠慮はいらない、ということだ」 |
????? 「大隊の皆が聞いている中で、弱音を吐くものではないぞ。戦う、破壊する。大いに結構」 |
????? 「大隊の皆を見たまえ。迷うものもいる。悩む者もいる。しかし……」 |
????? 「戦うことをやめたものは、いなかったはずだ。それぞれの戦場、それぞれの心の中でな」 |
マテリアルベルト発動機担当『レオ』からの通信 「伯父さん……」 |
????? 「おっと、『伯父さん』は秘密。そうであったろう、君と私の立場上……な」 |
????? 「メールボックスを見たまえ。蒸気アイマスクが君のオフィスに発送中のはずだ。楽しむがいい。アディオス!」 |
◆作製
作成時補助発動! 高圧!! 消費ENが 66 増加!!
精度強化!
作成時補助発動! 薄装!! APが 66 減少!!
貯水強化!
試製高圧精度補助輪B-0を作製した!!
◆戦闘システム決定
アサルト に決定!!
◆アセンブル
操縦棺1に簡易操縦棺Aを装備した
脚部2に簡易軽二脚Aを装備した
スロット3に簡易エンジンBを装備した
スロット4に簡易エンジンBを装備した
スロット5に簡易エンジンBを装備した
スロット6に簡易領域瞬間霊送箱Aを装備した
スロット7に簡易領域瞬間霊送箱Aを装備した
スロット8に簡易領域瞬間霊送箱Aを装備した
スロット9に簡易重ブースターAを装備した
スロット10に簡易重ブースターAを装備した
スロット11に簡易電磁ブレードAを装備した
◆僚機設定
◆意思表示設定
意志設定……休暇
◆ミッション
ミッション設定……フリー
ユニオン活動
毛皮の無い灰狼の活動記録
随分と長い間そうしていた。
そろそろ食事を摂らないかと男の方から切り出した。何かあれば作ると言うとファティマはいたく喜んだが、食材も調理器具類も男の要求水準を割っていた。外食で済ませるか、邪魔になるかもしれないが必要なものを買ってきて作るかを選ぶ必要があった。ファティマは物怖じしつつも後者が良いと言った。遠慮はしなくていいと言うと顔を赤くして微笑んだ。
二人で連れ立ち、外へ繰り出した。霧は濃くなっていたが、雨はまだ降りそうもなかった。寒くはないか、と聞いてもファティマは妙に嬉しそうに首を振るばかりだった。肉食も平気だというので、手間と時間を考えソテーとスープを作ることにした。いくつかの店を梯子し調理器具も皿も最低限困らない程度のものは揃った。男の提案や手にとってあれこれと喋る様に、ファティマは実に素直な微笑みと共に頷いた(しかし非成形の生肉の値段には目を剥いていた)。
結局、戻った頃には既に濃霧の上に何の光源も認められない時間になっていた。ファティマは果物ナイフ程の寸詰まりの厚手のナイフで食材を切り分ける男を訝しんだ。この体になってから、刃渡りの長い刃物が持てなくなったんだと告げると酷く辛そうな顔をしたが、男が厭らしい笑みを浮かべ人参を手刀で縦に両断すると真顔で閉口した。便利だろう、とからから笑うと、ファティマもつられて明るさを取り戻した。
簡単な食事をファティマは実に旨そうに平らげた。男としては気が遠くなるなるほどの絶賛を受けながら、食事はできるだけいいものを摂るようにと嗜めた。俯瞰してみれば、一人暮らしの妹の元を訪れた歳の離れた兄に見えなくもない光景だった。奇妙で歪であったが、少なくともファティマは表情に満ち足りたものを表していた。
†
ファティマがシャワーを浴びたところで(ピンク色の過ごしやすそうな寝間着の上下に着替えていた)、先程寄り道して購入しておいたハーブティーを供した。リラックス効果があるとされる複数種の茶葉が効いたのか、男が体を流して戻った頃にはファティマはひどく安らいだ表情で茫洋としていた。
「疲れたろう。横になった方がいいんじゃないか?」
「うん……でも、もったいないし」
何が、と聞き返す程男も鈍くなかった。強いて就寝を促すには後ろめたさが過ぎた。
「でも、レッドさんがそういうなら」
立ち上がり、少し体を伸ばして微笑んだ。歳相応のはっとするような穏やかな笑顔だった。男はほっとしながら入れ替わりにソファに腰を下ろした。
「レッドさん、おやすみなさい」
「おやすみ、ファティマ」
ファティマが寝室へと消えてから、男は端末を用いてあれこれと雑事に時間を割いていた。茶を飲み、膨大なニュースに目を通し、そうこうしているうちに寝室に続く扉が徐に開いた。
「あれ、どうかしたのかい」
「…………あの……レッドさん、こっち来て」
出てきたファティマは、酷く言いづらそうに顔を赤らめてそう求めた。大変に弱る提案であった。ジルでさえ男に寝床を共にするよう誘うことは滅多に無かった。しかし、経験則は大きな効果が期待できることを伝えてもいた。
「いいよ」
結局応じることにした。自分がどんどん情けなく感じられていったが、とにかくファティマは嬉しそうにベッドに転がり込んだ。窓の外ではいつしか雨が降り始めていた。
†
一人用のベッドは流石に狭かった。しかしどうにもならないという程でもない。極力ファティマがゆったりスペースを取れるよう横向きに寝転んでいた。雨脚が強まってきたせいか、いくらか冷え込みが強くなっていた。もじもじと体を捩っていたファティマが少し震えたのが目についた。
「暖房を強くしておこうか」
「いや」
軽い気持ちでの提案に、思いがけず強い調子で返事が返ってきた。ファティマが男の方を向き、肌着の横腹の辺りをひしと掴んだ。
「いかないで……いっちゃ、やだ」
か細い、酷く不安そうな声だった。成程確かに暖房は本体のダイヤルで調節するものだから、ベッドを出なければどうすることもできない。軽く頷くと、ようやくほっとしたような顔になった。
離した肌着の上から腹を引き寄せるように軽く叩いてくる。まあ、道理ではあるよな。諦観にも近い気分でベッドの中央へと体を寄せた。ファティマはもぞもぞと毛布へと潜り込み、男の胸の辺りへと頭を擦り付けた。
ファティマは男の心臓の鼓動を聞いていた。じわりと感じる体温と耳元で鳴る規則正しい音は、男が生きていることを絶え間なく確認させ続けた。彼女にはそうする必要があった。両親を失い自身を喪失させられていた長い時間が、打ちのめされた外傷として癒やしを必要とさせていた。
ファティマは自然と男の体に腕を回して抱きついていた。おにいちゃん、と微かな声と共に、溜息のような安堵の呼気が漏れていた。手持ち無沙汰を覚えた男が背中を軽く擦ると安息感は更に増した。
そう時間を置かず、ファティマは微睡みのより深いところへと沈んでいった。両親を失って以来、初めて本当に安心して眠りに就いた。
†
翌朝、ファティマが目を覚ますのを待ってから男は動き出そうとした。失敗した。ファティマに巻き付かれ、その腹が小さく鳴り出すまで解放されることはなかった(男が努力を放棄したせいもあった)。
昨晩、マノ社の輸入食材を取り扱っている事業所で購入した幾つかのレトルトや缶詰を解き、極々簡単な朝食を用意した。保存状態も物もよく、男が賞賛するとファティマは自分の事のように喜んだ。
手早く食器を始末する男をファティマは酷く辛そうに見つめていた。敢えて気に留めないように努めた。どうすることもできないからだった。手伝いたい、と言い出した時は寧ろ男の方がほっとした。布巾を渡し、男が洗った皿を片端から磨いて仕舞ってもらった。
「それじゃあ、俺はそろそろ行くよ」
そう言って立ち上がった男に、ファティマは何か縋るような目を向けて言葉を探していた。男の方から言うべきことは何も無かったが、代わりにじっくりとファティマの言葉を待った。必要が無い今のうちに、急かさないで済むという互いにとっての贅沢を満喫しておくのも悪くないと思っていた。
「レッド、さん……前、食べさせてもらった、クッキー、あれ、また食べたいです」
「あれかい?そうだね、今度たっぷりと用意……ああいや、そうだね」
おずおずと言い出したファティマに頷きながら、内心の浅慮を恥じた。
「君が良ければ今度は一緒に買いに行こうか」
喜色を顔に広げて抱きついてきたファティマは、それが正答であったことを言外に示していた。男も安堵していた。少なくとも自分は学習を深められている。今日は昨日よりもましにできる。それで初めて、娘たちに負わせた苦しみに少しでも報いることができる。
†
結局、ジルの元へと戻ったのは昼を回った頃だった。
ただいま、という男の言葉に、ジルは実に暖かい笑顔でおかえり、と応じた。
「目的は達せた、と思う」
聞いて欲しい、という男の懇願を、ジルは内心を覗かせる事無く快く受け容れた。恋人ではなく兄、という下りについても愛想良く頷いた。寝床を共にした話については流石に一瞬表情が曇ったように見受けられたが、それだけだった。
「我儘だけれど、彼女の好意については無碍にしたくない、と思う。
彼女が協力を必要としているのも、うまくは言えないが理解できた」
「うんうん……リーもわかるようになってきたね」
「情けないばかりだけど。ただ、それ以上にずっと君のことを好いている」
ジルは動じなかった。男に自覚が無かっただけで、何度もそれを意味する言葉を聞いていた。ただ、男が直接的な表現で言及したことには意外の念があった。
「君のことが好きだ。他の誰よりも大事にしたいと思う。
君もそう思ってくれているとしたら、こんなに嬉しいことはない。
この通り、学の足りない未熟者で苦しめてばかりだけど、俺を恋人にして欲しい」
ジルの目が丸々と見開かれた。図々しい物言いはともかく、言っていることはジルにとって余りにも今更であった。ああでも。この人は本当に自分に自信が無いんだ。朴念仁であることも間違いない。であれば、至らぬ所は私が支えてやればいい。私だってこの人が大好きなのだから。
くすりと笑って、椅子で小さくなっている男の背中を抱き締めた。
「リーは、私にとってずっと前から恋人だよ。いつも支えてくれるやさしいひと。
いっつも私をもっと支えられるように、って頑張ってくれてる。その気持ちが、好き。
だから、これからも恋人として一緒にやっていこう?」
「……ありがとう。俺の力の限り努力するよ」
「あんまり無理はしないでね、リーが元気でいてくれた方がいいから」
余り期待はせずに付け加えた。ジルなりに重んじるところを表現したつもりだが、男が素直にその通りにできないであろうこともわかっていた。自分の我儘だって同じようなものだから、受け容れるのに苦労はなかった。
その夜、ジルは男の部屋の寝床に潜り込んできた。先日のそれとは違って、不機嫌そうな様子ではなかった。男も直ちに雑事を打ち切り、ジルが待つベッドへと潜り込んだ。試しに男の方からジルを抱きしめてみた。ここ数年の成長で身長差は大きく減じていたため、ちょうど胸板の上のあたりにジルの頭が収まった。ジルにしては珍しく、えへへ、と些かだらしのない笑いを漏らした。訳もわからず堪らなく愛らしく感じられた。男は胸に押し付けられるジルの頬の感触と顎先にさらさらと触れる赤い髪の感触を楽しみながら、少なくともこれは間違いじゃないな、と腹の中で己を嘲笑った。
そろそろ食事を摂らないかと男の方から切り出した。何かあれば作ると言うとファティマはいたく喜んだが、食材も調理器具類も男の要求水準を割っていた。外食で済ませるか、邪魔になるかもしれないが必要なものを買ってきて作るかを選ぶ必要があった。ファティマは物怖じしつつも後者が良いと言った。遠慮はしなくていいと言うと顔を赤くして微笑んだ。
二人で連れ立ち、外へ繰り出した。霧は濃くなっていたが、雨はまだ降りそうもなかった。寒くはないか、と聞いてもファティマは妙に嬉しそうに首を振るばかりだった。肉食も平気だというので、手間と時間を考えソテーとスープを作ることにした。いくつかの店を梯子し調理器具も皿も最低限困らない程度のものは揃った。男の提案や手にとってあれこれと喋る様に、ファティマは実に素直な微笑みと共に頷いた(しかし非成形の生肉の値段には目を剥いていた)。
結局、戻った頃には既に濃霧の上に何の光源も認められない時間になっていた。ファティマは果物ナイフ程の寸詰まりの厚手のナイフで食材を切り分ける男を訝しんだ。この体になってから、刃渡りの長い刃物が持てなくなったんだと告げると酷く辛そうな顔をしたが、男が厭らしい笑みを浮かべ人参を手刀で縦に両断すると真顔で閉口した。便利だろう、とからから笑うと、ファティマもつられて明るさを取り戻した。
簡単な食事をファティマは実に旨そうに平らげた。男としては気が遠くなるなるほどの絶賛を受けながら、食事はできるだけいいものを摂るようにと嗜めた。俯瞰してみれば、一人暮らしの妹の元を訪れた歳の離れた兄に見えなくもない光景だった。奇妙で歪であったが、少なくともファティマは表情に満ち足りたものを表していた。
†
ファティマがシャワーを浴びたところで(ピンク色の過ごしやすそうな寝間着の上下に着替えていた)、先程寄り道して購入しておいたハーブティーを供した。リラックス効果があるとされる複数種の茶葉が効いたのか、男が体を流して戻った頃にはファティマはひどく安らいだ表情で茫洋としていた。
「疲れたろう。横になった方がいいんじゃないか?」
「うん……でも、もったいないし」
何が、と聞き返す程男も鈍くなかった。強いて就寝を促すには後ろめたさが過ぎた。
「でも、レッドさんがそういうなら」
立ち上がり、少し体を伸ばして微笑んだ。歳相応のはっとするような穏やかな笑顔だった。男はほっとしながら入れ替わりにソファに腰を下ろした。
「レッドさん、おやすみなさい」
「おやすみ、ファティマ」
ファティマが寝室へと消えてから、男は端末を用いてあれこれと雑事に時間を割いていた。茶を飲み、膨大なニュースに目を通し、そうこうしているうちに寝室に続く扉が徐に開いた。
「あれ、どうかしたのかい」
「…………あの……レッドさん、こっち来て」
出てきたファティマは、酷く言いづらそうに顔を赤らめてそう求めた。大変に弱る提案であった。ジルでさえ男に寝床を共にするよう誘うことは滅多に無かった。しかし、経験則は大きな効果が期待できることを伝えてもいた。
「いいよ」
結局応じることにした。自分がどんどん情けなく感じられていったが、とにかくファティマは嬉しそうにベッドに転がり込んだ。窓の外ではいつしか雨が降り始めていた。
†
一人用のベッドは流石に狭かった。しかしどうにもならないという程でもない。極力ファティマがゆったりスペースを取れるよう横向きに寝転んでいた。雨脚が強まってきたせいか、いくらか冷え込みが強くなっていた。もじもじと体を捩っていたファティマが少し震えたのが目についた。
「暖房を強くしておこうか」
「いや」
軽い気持ちでの提案に、思いがけず強い調子で返事が返ってきた。ファティマが男の方を向き、肌着の横腹の辺りをひしと掴んだ。
「いかないで……いっちゃ、やだ」
か細い、酷く不安そうな声だった。成程確かに暖房は本体のダイヤルで調節するものだから、ベッドを出なければどうすることもできない。軽く頷くと、ようやくほっとしたような顔になった。
離した肌着の上から腹を引き寄せるように軽く叩いてくる。まあ、道理ではあるよな。諦観にも近い気分でベッドの中央へと体を寄せた。ファティマはもぞもぞと毛布へと潜り込み、男の胸の辺りへと頭を擦り付けた。
ファティマは男の心臓の鼓動を聞いていた。じわりと感じる体温と耳元で鳴る規則正しい音は、男が生きていることを絶え間なく確認させ続けた。彼女にはそうする必要があった。両親を失い自身を喪失させられていた長い時間が、打ちのめされた外傷として癒やしを必要とさせていた。
ファティマは自然と男の体に腕を回して抱きついていた。おにいちゃん、と微かな声と共に、溜息のような安堵の呼気が漏れていた。手持ち無沙汰を覚えた男が背中を軽く擦ると安息感は更に増した。
そう時間を置かず、ファティマは微睡みのより深いところへと沈んでいった。両親を失って以来、初めて本当に安心して眠りに就いた。
†
翌朝、ファティマが目を覚ますのを待ってから男は動き出そうとした。失敗した。ファティマに巻き付かれ、その腹が小さく鳴り出すまで解放されることはなかった(男が努力を放棄したせいもあった)。
昨晩、マノ社の輸入食材を取り扱っている事業所で購入した幾つかのレトルトや缶詰を解き、極々簡単な朝食を用意した。保存状態も物もよく、男が賞賛するとファティマは自分の事のように喜んだ。
手早く食器を始末する男をファティマは酷く辛そうに見つめていた。敢えて気に留めないように努めた。どうすることもできないからだった。手伝いたい、と言い出した時は寧ろ男の方がほっとした。布巾を渡し、男が洗った皿を片端から磨いて仕舞ってもらった。
「それじゃあ、俺はそろそろ行くよ」
そう言って立ち上がった男に、ファティマは何か縋るような目を向けて言葉を探していた。男の方から言うべきことは何も無かったが、代わりにじっくりとファティマの言葉を待った。必要が無い今のうちに、急かさないで済むという互いにとっての贅沢を満喫しておくのも悪くないと思っていた。
「レッド、さん……前、食べさせてもらった、クッキー、あれ、また食べたいです」
「あれかい?そうだね、今度たっぷりと用意……ああいや、そうだね」
おずおずと言い出したファティマに頷きながら、内心の浅慮を恥じた。
「君が良ければ今度は一緒に買いに行こうか」
喜色を顔に広げて抱きついてきたファティマは、それが正答であったことを言外に示していた。男も安堵していた。少なくとも自分は学習を深められている。今日は昨日よりもましにできる。それで初めて、娘たちに負わせた苦しみに少しでも報いることができる。
†
結局、ジルの元へと戻ったのは昼を回った頃だった。
ただいま、という男の言葉に、ジルは実に暖かい笑顔でおかえり、と応じた。
「目的は達せた、と思う」
聞いて欲しい、という男の懇願を、ジルは内心を覗かせる事無く快く受け容れた。恋人ではなく兄、という下りについても愛想良く頷いた。寝床を共にした話については流石に一瞬表情が曇ったように見受けられたが、それだけだった。
「我儘だけれど、彼女の好意については無碍にしたくない、と思う。
彼女が協力を必要としているのも、うまくは言えないが理解できた」
「うんうん……リーもわかるようになってきたね」
「情けないばかりだけど。ただ、それ以上にずっと君のことを好いている」
ジルは動じなかった。男に自覚が無かっただけで、何度もそれを意味する言葉を聞いていた。ただ、男が直接的な表現で言及したことには意外の念があった。
「君のことが好きだ。他の誰よりも大事にしたいと思う。
君もそう思ってくれているとしたら、こんなに嬉しいことはない。
この通り、学の足りない未熟者で苦しめてばかりだけど、俺を恋人にして欲しい」
ジルの目が丸々と見開かれた。図々しい物言いはともかく、言っていることはジルにとって余りにも今更であった。ああでも。この人は本当に自分に自信が無いんだ。朴念仁であることも間違いない。であれば、至らぬ所は私が支えてやればいい。私だってこの人が大好きなのだから。
くすりと笑って、椅子で小さくなっている男の背中を抱き締めた。
「リーは、私にとってずっと前から恋人だよ。いつも支えてくれるやさしいひと。
いっつも私をもっと支えられるように、って頑張ってくれてる。その気持ちが、好き。
だから、これからも恋人として一緒にやっていこう?」
「……ありがとう。俺の力の限り努力するよ」
「あんまり無理はしないでね、リーが元気でいてくれた方がいいから」
余り期待はせずに付け加えた。ジルなりに重んじるところを表現したつもりだが、男が素直にその通りにできないであろうこともわかっていた。自分の我儘だって同じようなものだから、受け容れるのに苦労はなかった。
その夜、ジルは男の部屋の寝床に潜り込んできた。先日のそれとは違って、不機嫌そうな様子ではなかった。男も直ちに雑事を打ち切り、ジルが待つベッドへと潜り込んだ。試しに男の方からジルを抱きしめてみた。ここ数年の成長で身長差は大きく減じていたため、ちょうど胸板の上のあたりにジルの頭が収まった。ジルにしては珍しく、えへへ、と些かだらしのない笑いを漏らした。訳もわからず堪らなく愛らしく感じられた。男は胸に押し付けられるジルの頬の感触と顎先にさらさらと触れる赤い髪の感触を楽しみながら、少なくともこれは間違いじゃないな、と腹の中で己を嘲笑った。
ユニオン設備……なし!!
ユニオン連帯
……なし!!
ユニオン金庫……15398c
利子配当…………1539c
適性の訓練をしました
適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
100c支払い、今回の戦闘においてAPを10%強化した
ジル・スチュアート 「[献金しました] 」 |
メッセージ
◆戦闘結果
戦闘報酬
戦闘収入 1750
追加収入 55
攻撃戦果補正3.95%
支援戦果補正4.91%
防衛戦果補正4.62%
撃墜数補正 0.1%
販売数補正 0.1%
敵警戒値補正0.585%
追い上げ補正3.1%
合計現金収入2140
--弾薬費請求 0
--装甲費請求 -42
--整備控除修正額468
整備請求額 0
ユニオン費 -96
手当金 100
パーツ販売数 1個
今回の購入者-->>264
◆反応値が1成長しました
◆経験値が80増加しました……
◆素材が組織から支給されました……
追加収入 55
攻撃戦果補正3.95%
支援戦果補正4.91%
防衛戦果補正4.62%
撃墜数補正 0.1%
販売数補正 0.1%
敵警戒値補正0.585%
追い上げ補正3.1%
合計現金収入2140
--弾薬費請求 0
--装甲費請求 -42
--整備控除修正額468
整備請求額 0
ユニオン費 -96
手当金 100
パーツ販売数 1個
今回の購入者-->>264
◆反応値が1成長しました
◆経験値が80増加しました……
◆素材が組織から支給されました……
明日の戦場
第10ブロック
霧に消えた部隊
とある部隊が霧に隠れて消息不明になった後、再び現れた。奇妙なことに、我々を敵だと思い攻撃を続けている。説得は不可能だ。全滅させてくれ
来週の霧濃度:62%
来週の電磁波:98%
来週の警戒値:593%
ギベオン |
Byakhee |
灰星 |
マーガレット |
あるるまーにゃ |
有限 |
航空小隊『スケルトンキー』 |
ゴーグルの少年 |
ちひろ |
アスラ・ヒネモス |
ウィルマ・ウォーカー |
Rache |
シャルン |
ラムバー |
リーブラ |
アイシャ=ロングゲート |
『5ch347』 |
藤山田 典史郎 |
ナディトネール |
コルボ・ウスイ |
ナディトネール |
--- | --- | --- | --- |
--- | --- | - vs - | --- | --- |
『電磁鉄線』[電子] |
『電磁鉄線』[電子] |
『幽霊戦闘機』[霊障] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
未確認機『アリューシャントレンチ』[粒子] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
未確認機『アリューシャントレンチ』[粒子] |
『電磁鉄線』[電子] |
『電磁鉄線』[電子] |
『電磁鉄線』[電子] |
装甲飛行艇『ドルフィン』[電子] |
装甲飛行艇『ドルフィン』[電子] |
装甲飛行艇『ドルフィン』[電子] |
『幽霊戦闘機』[霊障] |
『幽霊戦闘機』[霊障] |
未確認機『アリューシャントレンチ』[粒子] |
『電磁鉄線』[電子] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
『電磁鉄線』[電子] |
『電磁鉄線』[電子] |
装甲飛行艇『ドルフィン』[電子] |
『電磁鉄線』[電子] |
『電磁鉄線』[電子] |
『電磁鉄線』[電子] |
装甲飛行艇『ドルフィン』[電子] |
『電磁鉄線』[電子] |
『幽霊戦闘機』[霊障] |
『電磁鉄線』[電子] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
『電磁鉄線』[電子] |
装甲飛行艇『ドルフィン』[電子] |
装甲飛行艇『ドルフィン』[電子] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
『幽霊戦闘機』[霊障] |
装甲飛行艇『ドルフィン』[電子] |
未確認機『アリューシャントレンチ』[粒子] |
キャラデータ
名前
ゴーグルの少年
愛称
ゴーグルの少年
|
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
プロフィール
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
__0__1__2__3__4__5__6__7 __8__9_10_11_12_13_14_15 _16_17_18_19_20_21_22_23 |
機体データ |
|
|
1 | 操縦棺A | 簡易操縦棺A [20/臂力/---]《装備:1》 | ▼詳細 |
---|---|---|---|
2 | 軽二脚A | 簡易軽二脚A [20/臂力/---]《装備:2》 機動[686] 跳躍[175] AP[438] 旋回速度[659] 防御属性[物理] 防御値[360] 貯水量[87] 積載量[1900] 消費EN[270] 金額[360] 重量[700] [二脚] *作者* |
▼詳細 |
3 | エンジンB | 簡易エンジンB [20/臂力/---]《装備:3》 | ▼詳細 |
4 | エンジンB | 簡易エンジンB [20/臂力/---]《装備:4》 | ▼詳細 |
5 | エンジンB | 簡易エンジンB [20/臂力/---]《装備:5》 | ▼詳細 |
6 | 領域瞬間霊送箱A | 簡易領域瞬間霊送箱A [20/臂力/---]《装備:6》 | ▼詳細 |
7 | 領域瞬間霊送箱A | 簡易領域瞬間霊送箱A [20/臂力/---]《装備:7》 | ▼詳細 |
8 | 領域瞬間霊送箱A | 簡易領域瞬間霊送箱A [20/臂力/---]《装備:8》 | ▼詳細 |
9 | 重ブースターA | 簡易重ブースターA [20/臂力/---]《装備:9》 | ▼詳細 |
10 | 重ブースターA | 簡易重ブースターA [20/臂力/---]《装備:10》 | ▼詳細 |
11 | 電磁ブレードA | 簡易電磁ブレードA [20/臂力/---]《装備:11》 火力[2091] 連撃数[1] 防御属性[物理] 防御値[684] 精度[70] 貯水量[219] 弾数[9999] 武器属性[貫通] 異常追加[30] 消費EN[1080] 金額[360] 重量[200] [電子格闘] *作者* |
▼詳細 |
12 | パンツァークリンゲA | 『追想の影打ち』 [20/臂力/---] 火力[1634] 連撃数[1] 防御属性[粒子] 防御値[810] 貯水量[333] 弾数[8] 武器属性[衝撃] 異常追加[46] 消費EN[18] 金額[360] 弾薬費[20] 重量[170] [物理格闘] *作者* |
▼詳細 |
13 | パンツァークリンゲA | パンツァークリンゲA設計書 [20/貯水/---] 特殊B[80] 貯水量[24] [設計書] |
▼詳細 |
14 | 素材 | 粒子吸着材20 [20/耐粒/---] [素材] |
▼詳細 |
15 | 素材 | 姿勢制御装置20 [20/飛行/---] [素材] |
▼詳細 |
16 | 素材 | ブラックボックス20 [20/誘発/---] [素材] |
▼詳細 |
17 | 放電コイルB | 試製耐物放電コイルB-0 [20/耐物/耐霊] 火力[1371] 発射数[1] 防御属性[霊障] 防御値[460] 精度[17] 貯水量[438] 弾数[8] 武器属性[対地] 異常追加[12] 消費EN[630] 金額[360] 重量[800] [電子射撃] *作者* |
▼詳細 |
18 | ヒートストリングA | 試製機動ヒートストリングA-0 [21/機動/機動] 火力[399] 連撃数[4] 防御属性[火炎] 防御値[767] 精度[195] 貯水量[44] 弾数[20] 武器属性[速射] 異常追加[40] 消費EN[9] 金額[366] 弾薬費[5] 重量[160] [火炎格闘] *作者* |
▼詳細 |
19 | 速射パルス砲A | 試製耐電速射パルス砲A-0 [22/耐電/飛行] 火力[135] 発射数[10] 防御属性[電子] 防御値[256] 精度[135] 貯水量[135] 弾数[40] 武器属性[速射] 異常追加[25] 消費EN[16] 金額[371] 重量[200] [粒子射撃] *作者* |
▼詳細 |
20 | 高速増殖培養槽A | 試製精度高速増殖培養槽A-0 [23/精度/保証] | ▼詳細 |
21 | 素材 | 神秘合金25 [25/高圧軽量/---] [素材] |
▼詳細 |
22 | 素材 | 特殊合金25 [25/重装甲/---] [素材] |
▼詳細 |
23 | 素材 | 反動吸収機構26 [26/変形/---] [素材] |
▼詳細 |
24 | 素材 | 姿勢制御装置26 [26/飛行/---] [素材] |
▼詳細 |
25 | 素材 | 反応スプリング27 [27/跳躍/---] [素材] |
▼詳細 |
26 | 素材 | 姿勢制御装置27 [27/飛行/---] [素材] |
▼詳細 |
27 | FCSC | 試製精度FCSC-0 [27/精度/耐物] | ▼詳細 |
28 | 領域瞬間霊送箱A | 試製AP回復領域瞬間霊送箱A-0 [28/AP回復/耐霊] | ▼詳細 |
29 | 素材 | 反応スプリング30 [30/跳躍/---] [素材] |
▼詳細 |
30 | パンツァークリンゲA | 『偽影』 [29/重霊障/耐火] 火力[1892] 連撃数[1] 防御属性[火炎] 防御値[977] 貯水量[383] 弾数[8] 武器属性[衝撃] 異常追加[46] 消費EN[20] 金額[414] 弾薬費[20] 重量[228] [物理格闘] *作者* |
▼詳細 |