ENo.0092　リコンストラクタ＝クロックワークス

○月✕日（30日目）

今日でこの世界に来てちょうど一月、
アタシを取り巻く環境的にも一区切りといった感じだから、
試しに日記を書いてみるわ。
三日坊主にならないといいわね。

そろそろこの変な世界にも慣れてきたんじゃないかしら。
今のところアタシは普通に生きていけている。
助けは来るかどうかわかんないけど、
アタシに出来ることは生き抜くことと魔法を鍛えることくらいだし？


さて、まずはこっちの世界にきてからのことを書きましょうかしら。
ちょっと長くなっちゃうかも。最初だから許してね、未来のアタシ。

アタシは元の世界で、学校からバイト先に向かっていたはずだった。
んだけど......急に足元が無くなってさ。
「マンホール！？」とか変なこと口走った気もするわね。
で、地面に落ちて、周り見渡したら全然見覚えないとこなの。
あの時は参ったわね、何が起こったのかさっぱりわからなかったし...

で、混乱してたらさ。
通りすがりの親切な人―ミミちゃんが話しかけてくれてね？
ま、その落ちたところがミミちゃん家のすぐそばだったってことみたいだけど。

（Page.1）





でもアタシ混乱してるから、「ここどこ！？」とか、
「どうやったら上にあがれるの！？」とか、
色々変な質問ぶつけまくっちゃって。申し訳ないわ...

落ち着いてから色々教えてもらったの。
この世界のちょっとした説明、別の世界から迷い込む人がいるってこととか。
でもね？話聞いてたらやっばいことに気づいちゃって。
だって、話は通じてもお金が通じないってことだもん。
元の世界じゃ通貨は基本統一されてるからさ、アタシびっくりしちゃったわ。

さて、お金もない、住むとこもない、
そんなアタシがどうやって今日まで生きてこれたか？
この答えこそ、さきほどの親切な人ミミちゃんこと、
ミミフォン・（えーっと、なんだっけ？）・（なんとか）クルスちゃん！
...もう！なんでいろんな処理が番号で行われるのよ！登録番号しかメモしてないわよ！
ごめんねミミちゃん、ほんっとごめん...

ともあれ彼女のおかげなのよ！
不安がってるアタシになんと、住み込みできるバイト先を紹介してくれたの！
あの時は感極まって泣いて抱きついちゃったわ、恥ずかしいことにね。
でもしょうがないと思わない？不安でいっぱいだったんだからね！

ま、そんなこんなで無事に衣（バイト代）食（まかない）住を手にしたアタシは、
初日にしてこの世界で生きていく術を得られたってわけ。
ぜーんぶ、ミミちゃんのおかげね！

（Page.2）





でもまぁそれだけだったら、今の状況はないわけね。
この世界に来て2つだけ来てよかったと思えるもの、その2！
（その1はもちろんミミちゃんに会えたことよ！）
それこそがウォーハイドラの存在！正確に言えばそのパーツね。
ウォーハイドラについてはまた今度説明するけど、
要はロボットとか巨大メカとか呼ばれるやつ。
あのロマンの塊が、この世界では実在して、しかも兵器として使われてるのよ！

バイト先の大衆食堂の店長（みんな女将さんって呼んでるわ）は優しくってね。
結構いいバイト代もらえちゃうのよね。
ちゃんと美味しいもの食べるようにってことで渡してくれてたんだけど、
ごめんなさい、アタシ三食より機械弄りが好きなの。
ジャンクパーツ、買っちゃったわよね。えへ。
詳しいことは省くけど、ま～ぁ毎日弄り倒しましたとも。
興味深い機構とかもあってさ、もう興奮しっぱなし。
だって反重力だよ？空中に浮いちゃうんだよ？もうさ、さいっこー！じゃん？
一つパーツ作っちゃうくらいには研究したし、いやー楽しい時間だったわ。

で、ここまでで大体25日くらい経ったんだけど。
飛行パーツ作った次の日に、さ。
枕元にカードが置いてあってね。
女将さんにこれなにー？って聞いたら...
まさかのライダーズライセンスってやつだったわけ。
ライダーズライセンスってのはね？簡単に言うとウォーハイドラの免許。
まぁ正式に登録しにいかないともちろん高価な紙切れなんだけどさ。

（Page.3）





ここでアタシに選択肢が与えられたの。
今まで通りバイトを続けてパーツ弄りながら生活するか。
ハイドラライダーになって傭兵として生活するか。
女将さん優しいから悩んじゃったけどね。
やっぱりアタシのこの想いは抑えきれなかった。

だってそうじゃない？
自分でいじったパーツで、選んだパーツで、
自由に機体が組めるんだよ？動くのよ？
もうさ、うん、しょうがないわよね。
女将さん、お金稼いだらたくさん食べに行くからね。

そんなわけで荷物とかまとめたり、登録しに行ったりしてね。
そこまでで30日、つまり今日。
やーっと落ち着いたから、日記でも書いてみようってなったわけ。
提出する資料とかはあまりないんだけど、
施設の案内とか、荷物広げたりとか、とっても忙しかったの。

ついでに言えば明日の昼頃は多分戦場ね。
アタシの、そして愛機グィーグの初陣。
緊張するなぁ...ちゃんと動いてくれるかなぁ...
アタシは戦場でもちゃんと動けるかなぁ...
そんな思いでいっぱいなのよね。
でも、ま。なんとかなるっしょ！
なんたってアタシのカスタマイズした機体だし？

（Page.4）




それより聞いてよ！（誰に言ってるかわかんないけど）
あのね、なんとね！ミミちゃんと再会しちゃったの！
しかもなんとこの寮で！
彼女もアタシと同じタイミングでハイドラライダーになったらしいの！

更に更に！バディ（僚機のこと！）に誘われちゃったの！
明日の戦争はもうメンバー決まってるから無理だけど、
次の戦争からはミミちゃんと一緒の任務につけるってさ！
実はちょっぴり心細かったんだけど、よかった～～～～！

恩のある友だち（思ってるの、アタシだけじゃないよね？）に、
恩を返せる舞台が揃ってるなんて、もうさいっこーのさいっこー！って感じよね！
その為には戦争で生き抜かなきゃいけないんだけど。

でも負ける気はしないわ。なんてったってアタシはリコンストラクタ。
機械工作で右に出るもの無しと言われたクロックワークス家の一人娘！
生き抜いて、ミミちゃんも守って、お金を稼いでパーツいじって！
さいっこー！な生活を送るんだから！

あ、あと魔法もちょっとずつ…ね。いつか帰れるまで、頑張るわ、うん...
ま、まぁパーツ弄りの合間にね...

（Page.5）




っと、やっぱり長くなっちゃったわね。
見返す時、目が疲れちゃいそう。
次回からはもっと控えめにしようかしらね。（こんなこと書いてるから長くなるんだけど）
ともあれ、今日までの振り返りはこれでおしまい。
明日から頑張るわよー！オー！


メモ：
ミミちゃんのフルネームを確認しておくこと
初陣が終わったら女将さんとこにご飯食べにいくこと

生きて帰ること

（Page.6）