ENo.0049　ゲート探査車両　ひらくも

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（霧立ち込める中、兵士のような出で立ちの初老男性と20代そこそこの長身女性がひらくもの天板に腰掛けている）

「……で、いざゲートに飛び込んでみたらこれですか」
「生きてるだけいいだろ」
「まぁ、そうなんですが」
「骨すら拾う間も無かったんだ、本当に惜しい奴を亡くした」

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「……霧が濃いですね」
「煙、じゃなくてか」
「隠蔽の相乗効果は期待出来そうじゃないですか」
「こちらから相手も見えないな」
「……」

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（笛付と芦屋の二人が、紅茶を飲みながら整備ガレージから外を眺めている……その後ろには一台の自動牽引車）
「……提案したのは私ですし、喜んで貰えるといいんですが」
「一宿一飯の恩義、って奴か？」
「一宿どころでは無いのですよね」
「……いつか、きちんと住める場所を見繕わないとな」
「ここの野菜も悪くないじゃないですか」

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（整備ガレージの中に、ノートが一冊落ちている……車長である笛付の日記の様だ）

　ここ、リーンクラフトミリアサービスに拾ってもらってからもう一週間は経つ。帰る場所が無くなる、と聞いた時は本当に信じられなかったものだがゲートも無き今、その言葉を信じるしか無い。
　道中で置き去りにせざるを得なかったあの新入りは生きているだろうか……生きていることを信じたいが、逃走するしか無かったあの過酷な戦場ではその期待も出来ないだろう。……非常に残念だが、我々はHackTeckの生き残りとして未だ前へ進む必要がある。
　とりあえず、今やるべきことといえば……今日も無事美味しい食事にありつけていることだから（今日 "も" 昼食はカレーだった）私は一時の平和を噛み締めながらニーユさんの農作業でも手伝うとして、通信手の芦屋が余剰パーツの山を見て何か考えているようだから後で付き合ってやることとしよう。
　願わくば、いずれ来る戦火を掻い潜りガレージへ戻ってこられることを祈って。

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