ENo.0055　クラトス･イェーガー

○月○△日
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リズのやつ、わざとサンドイッチの具をいつもと変えてやがった。
あいつなりの想いだったんだろうな、幾らなんでもやりすぎだったがな

明日からがマジモンの戦場だ。命の保障はねえし投げ打つ覚悟だってしとかにゃならねぇ。
このページが最後にならねぇよう尽力するしかねえな。

もしそうだったらすまねぇ　リズ、フレン。
辛ェ想いさせちまってんのは十分に分かっているがここでやめちまうのが一番クソッタレだ。

あのままじゃいけねえ、こうするしかなかった。
俺達兄弟はどれかひとつの道を選んでくしかなかったんだぜ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　クラトスの日誌より

【出撃:死亡許容】
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兄がハイドラライダーとして戦場で活動している頃
ボロ小屋のなかに残された姉弟は日常を過ごしていた。

フレデリック「姉さん、今日も変な弁当渡したの?」

木製の3人で使うにはやや小さなダイニングテーブルに
ほつれたクロスが3つとその上にはパンと付け合せののったプレートとスープの注がれたカップ。
刻は正午、ランチの最中にちがいない。

リズレット「うふふっ、さすがにキャベツサンドはよくなかったかしら」

少し悪戯な笑みで弟の雑談に答えつつ、
姉はちぎったパンをスープに浸け、口に含む。

フレデリック「『刻みピクルスとマスタードアボガドクリーム』のほうがよっぽどキツそうだったよ」

なんだかんだでこの弟、姉のしでかしたことを面白がっていたようで
事を問う顔はどこか愉快そうだった。


リズレット「あら?　いがいとおいしいのかもしれないわよ?」

姉も姉だ。　なんとあろうことか味見をしていなかったのだ。
壊滅的に不味いものを渡し、それが原因で
兄に危機がせまったらどうするつもりだったのだろうか。
それとも兄に危機などない　という『歪な想い』を抱いていたのか。

フレデリック「兄さん珍しく怒ってたじゃないか。　あの兄さんが姉さんに」

長男クラトスはこれでもリズレットを大事に思っており、
どこの馬の骨とも知らぬ悪い虫など寄り付けさせやしなかったほどだ。
リズレットが作ったものは大抵味が悪くても何かしら褒めるような
過度なまでに妹想いな兄だった。

リズレット「兄さんなりの優しさじゃないかしら」

この兄弟はそういう兄弟だ。