第3週目 パイ・クアッド・ラズベリィの一週間
◆日記
速射砲の弾丸が大地を抉った。
抉った大地を、装甲戦車の履帯が踏みしめる。
「あ、当たらない……。砲身が、歪んでますわね、ゼロインを修正し直さないと……ゼノ、着弾地点は?」
「電磁波干渉による雑音を加味して……着弾予想地点から3.08±0.50mズレてる。だが、我の予想が正しいなら、標的の速度自体を見誤っているはずだ。
あの装甲戦車、デカい癖に中々素早い。この霧濃度に、現在の火砲制御ルーチンだと敵に弾道を読まれるぞ、お嬢」
「敬語を使いなさい、と言ったでしょう!」
「失礼しました、お嬢。では我はどうにかして堪えますので精々頑張って下さい」
操縦棺の外、『ボクスド・キャンディ』の機内後部に据え付けられた簡易座席で、少女はコンソールと向き合う。
無数の小さな孔が開いたA4ノートサイズの、白い樹脂製の板。それがコンソール。
大小様々で装飾も様々の宝石のようなものが足元に散らばっている。それがドロップ。
そして少女が口に放り込んだ四角い物体。これはただのチョコレート。
「チェリー、ソーダ、ストロベリー……マスカット……。
敵影パターン修正『アルマジロ』、速度更新……+3.7m毎秒毎秒、キウィ、ソーダ、ビルベリィ……。
発射タイミング、ここは一旦、このモジュールの部分を全部外して。捕捉直後から、ペパーミント、NOPのままカウンタを0x40回して待機…………ミックスフルーツ、青と桃色のストライプ……」
ちいさな指先がドロップを摘み、コンソールへ嵌め込んでいく。
万華鏡か、ビーズアートか、土産物のミルフィオリのような華麗な図柄が浮かび上がる。
同時に、砲塔をこちらに向けた装甲戦車の映像が、ブロックノイズでガタガタになってモニタに浮かび上がった。
「できました。ビルド、コンソール、ドロップス……送ります、ゼノ!」
「お嬢。耐ショック体勢を」
少女はフリルのついた大きなクッションを頭に当て、縮こまった。
モニタに写る影から煙が噴き出される。
『ボクスド・キャンディ』のアームに取り付けられた粗末な火砲はその影を狙い────。
************************
「これは死にましたわね。間違いなく死にました」
少女は薄ら笑いを浮かべて呻いた。
細い顎、長い睫毛、薄桃の唇、大きな紫の瞳、自嘲的な笑みでさえ儚げな美を感じさせる。
そんな、少女が居るのは、あまりにも不釣り合いな土煙と霧と電磁波の舞う戦場。
真新しい『ボクスド・キャンディ』の中で、コンソールをひっくり返して、途方に暮れて。
モニタに鮮明に浮かび上がるのは二脚のウォー・ハイドラ。ゆっくり、一歩一歩大地を踏みしめて近づいてくる。
それは、対戦相手を甚振るようにも、何かに躊躇しているようにも見えた。
『ボクスド・キャンディ』の式典用祝砲は簡易速射砲に換装されていたが、一度も発射された様子はない。
『ボクスド・キャンディ』の床には書類が無数に散らばっている。
曰く。
『御社は弊社の管理財物を不当に横領し────』『──損害賠償金として────40,000,000,000cの──』『────調査の結果、御社に弁済能力は無く─────』『──、つきましては制裁措置として─────し──』
そのうちの一つに、契約書の写しがあった。
内容を要約するとこう。
『もしもハイドラライダー認定試験に合格できたのなら、お前と父親の命だけは助けてやる。
受かったら、残った負債はライダーの収入からチマチマ返していけ。
ただし、その試験に命の保障はない』
試験は、戦闘領域にほど近い打ち捨てられた市街地で行われた。
試験を受けるのは二機。資格を得られるのは一機。
かたや赤い機体に過剰装飾のセレモニーハイドラ『ボクスド・キャンディ』
かたや二脚の古びたウォー・ハイドラ、名前は無いのだと言う。
そして現在、その二脚のハイドラが、どこにでもありそうな粒子ブレードを構えている。
錆びついた関節部から、ギィイイ、ギィイイ、と叫ぶような音が響き、粒子が弾けて輝きを散らす。
操縦棺の中の少女は、震えた。怯え、恐怖、苦しみ、悲しみ、恨みが、オーバーフローしたように思えた。
ハイドラの運転方法を詳しくも知らないのに、『ボクスド・キャンディ』が後退し、寸での所でブレードを躱した。
「はぁっ……はーっ……はっ、う、ぁっ、……助けて、助けて、はっ、ぁー……う゛っ、う……」
誰も助けには来ない。
「お嬢」
そう、“来”はしなかった。
機体の中で声は響いたのだ。
「旋回し、後退しろ。速射砲を撃て。出鱈目でもいい」
声の主を考える間もなく、反射で身体が動いていた。
まるでHCS(ハイドラコントロールシステム)を操作する方法が本能にでも刻み込まれているかのように。
不思議な感覚、そして昂揚。『ボクスド・キャンディ』が火砲の反動で散発的に揺れ、二脚の目前の地面が抉られた。
二脚は転げ、立ち上がることすらままならない。
「イールド……ですの……? 貴方、あいつらに連れていかれて……」
「同じようで同じではない。そして今はそれを話している場合ではない。いいから──」
ミストエンジンの駆動音が、機内に響く声を遮る。
少女の細い顎、長い睫毛、薄桃の唇、大きな紫の瞳、そこには、それと不釣り合いな攻撃的な笑みが浮かべられていた。
「倒さないと……」
『ボクスド・キャンディ』が揺れる。
揺れて、地を奔る。
霧を掻き分けて二脚へ接近する。
「父様も、私も、ドレイか、生体実験材料か……だから、戦わないと……倒さないと……」
「……お嬢?」
『ボクスド・キャンディ』が二脚を轢き潰す。
脚を失い、辛うじて保持されていたブレードは地に突き立って地面をブスブスと蒸発させた。
「お嬢!! いいから止まれ!! これは……!!」
「はっ、っ、ぅっ、う゛ぅ、はーっ……うああっ!!」
速射砲が二脚の操縦棺を狙う。何度も揺れる。何度も。硬い。
それを貫くため、もう一撃、二撃……。
「やめろ───────!!!」
少女の耳にそれは届かない。
勝敗は決した。
遠巻きに見守っていた、借金取りの装甲車が近づいてくる。
通信が入った。
「おめでとう! パイ・クアッド・ラズベリィ! 君の勝利だ!」
安堵する。
だが、胸騒ぎは止まない。
モニタには潰れ、何度も砲弾を受けた二脚が鮮明に映し出されている。
「見るな」そう声が聞こえたが。
その、操縦棺から、赤いものが覗いていた。ペイントではない。血だ。
血だけではない。何か紙も見える。あれは、書類?
顔も見える。半分潰れた顔が。
「父様?」
頭の中は、真っ白に。
「でもざんねんだねえ。実は、嘘なんだよね。ハイドラライダー認定試験なんて。
ただ、もう使い物にならないから廃棄しようって機体が、丁度2つあったってだけで」
「もういいよ、君は。どこへなりと行ってくれたら。面白い映像も撮れたしね」
少女の意識は真っ黒く塗りつぶされた。
けれど。
それは幸か不幸か。
目覚めた少女のひざの上に、ライセンスカードはあった。
************************
装甲に穴の開いた装甲車を遠目に。
「……やっぱり、慣れませんわ」
NEWS
……では、現在の状況を詳しく見ていきましょう西方辺境には≪月の谷≫があり、そこへ続くルートにはやはり無数の遺跡要塞が存在していました
そして手前からリソスフェア、バイオスフェア、ストラトスフェア、イオノスフェアの4つの要塞が現存します
辺境軍閥は≪月の谷≫に眠る遺産技術を発掘するために、禁を破り西方辺境へ秘密裏に進出しました
そしてこの4つの遺跡要塞の再起動に成功します
ようやく事態に気付いた企業連盟はハイドラ大隊を招集し、現在に至ります。そして……
◆訓練
整備の訓練をしました整備が16上昇した
整備の訓練をしました経験値が足りない
整備の訓練をしました経験値が足りない
整備の訓練をしました経験値が足りない
整備の訓練をしました経験値が足りない
◆送品
◆送金
◆破棄
◆購入
P.Q.は幼き焔を939cで購入した!!
P.Q.はちっとましなガラクタを939cで購入した!!
P.Q.はYASAKANI-JEWEL[mk.1]を939cで購入した!!
◆戦闘システム決定
マグス に決定!!
◆アセンブル
操縦棺1に簡易操縦棺を装備した
脚部2に簡易中タンクAを装備した
スロット3にグミ・ハイドラを装備した
スロット4にD8-14E2-CA1自己治癒型卵巣を装備した
スロット5に幼き焔を装備した
スロット6に簡易エンジンを装備した
スロット7にうさみみ族特製エンジンを装備した
スロット8に『G.E.K』を装備した
スロット9にYASAKANI-JEWEL[mk.1]を装備した
スロット10にちっとましなガラクタを装備した
スロット11に簡易レーダーを装備した
◆パーツ改名
◆パーツアイコン変更
◆僚機設定
◆意思表示設定
意志設定……生存優先
ユニオン活動
ランダムの訓練をしました
ランダムが1上昇した
ランダムの訓練をしましたランダムが1上昇した
ランダムの訓練をしましたランダムが1上昇した
ランダムの訓練をしましたランダムが1上昇した
ランダムの訓練をしましたランダムが1上昇した
メッセージ
◆戦闘結果
戦闘報酬
戦闘収入 1150
攻撃戦果補正4.8%
支援戦果補正5.56%
防衛戦果補正5.32%
合計現金収入1340
整備費 -20
ユニオン費 0
◆経験値が28増加しました……
◆素材が組織から支給されました……
攻撃戦果補正4.8%
支援戦果補正5.56%
防衛戦果補正5.32%
合計現金収入1340
整備費 -20
ユニオン費 0
◆経験値が28増加しました……
◆素材が組織から支給されました……
P.Q.は特殊合金22を入手した!
P.Q.は噴霧ノズル22を入手した!
明日の戦場
第15ブロック
遺産兵器発掘
古代の遺産兵器が発見されたらしい。敵企業の部隊が向かっている。奴らを一人残らず撃退してくれ
来週の霧濃度:63%
来週の電磁波:3%
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キャラデータ
名前
パイ・クアッド・ラズベリィ
愛称
P.Q.
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プロフィール
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NAME: Pi Quad Raspberry / AGE: 11 / SEX: Female / HEIGHT: 128(cm) / WEIGHT: 23(kg) / EYE COLOR: Violet / HAIR COLOR: Strawberry Blonde / COMPLEXION: White / BLOOD TYPE: B- 【Sweet To You!】 §パイ・クアッド・ラズベリィ ■概略■ -彼女は、11歳の力なき少女である。頭のデキは少しだけいい。 -彼女は、操縦棺を恐れている。 -彼女は、元々製菓会社SweetToYouの社長令嬢であった。 -彼女は、持病により、寝ている時以外は常時糖分を補給していなければ餓死する。 -彼女は、生きるために戦わなければならない。 ■概略、終わり■ §ゼノ・イールド・ゼッド ■概略■ -彼(あるいは、彼女)は、とある生体化学研究所で作られた、自ら思考・学習し生産を行う生体型培養プラント『Yield-Z』の分体である。 -彼(あるいは、彼女)は、身体をもない知能だけの存在であり、乗機『ボクスド・キャンディ』の記憶領域を仮住まいとしている。 -彼(あるいは、彼女)は、P.Q.(読み:パック)を『お嬢』と呼び付き従っている。。 -彼(あるいは、彼女)は、奪われた自らの本体を奪還、あるいは破壊するために戦っている。 ■概略、終わり■ §ボクスド・キャンディ ■概略■ それは、赤い機体に過剰な装飾がなされたファンシーなウォー・ハイドラである。 それは、STUカンパニー1stアニバーサリー祝賀セレモニー専用中戦車型ハイドラ、であった。 それは、メイン操縦をゼノが行い、ゼノをP.Q.がサポートする形で運転されている。 それは、操縦棺が空っぽのまま戦っている。 ■概略、終わり■ §Sweet_To_Youカンパニー ■概略■ それは、製菓会社である。 それは、様々な菓子を残像領域に流通させていた一大企業であった。 それは、あまく、おいしい菓子を作っていた。 それは、一年ほど前に設立されたが、一周年記 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
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機体データ |
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1 | 操縦棺A | 簡易操縦棺 [20/---/---]《装備:1》 | ▼詳細 |
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2 | 中タンクA | 簡易中タンクA [20/---/---]《装備:2》 機動[171] AP[2369] 旋回速度[745] 防御属性[火炎] 防御値[720] 貯水量[438] 積載量[5000] 消費EN[180] 金額[360] 重量[2000] [タンク] *作者* |
▼詳細 |
3 | 頭部A | 簡易頭部 [20/---/---] | ▼詳細 |
4 | 腕部A | 簡易腕部 [20/---/---] | ▼詳細 |
5 | 速射砲A | 簡易速射砲 [20/---/---] 火力[219] 発射数[4] 防御属性[電子] 防御値[180] 精度[175] 貯水量[8] 弾数[15] 武器属性[速射] 異常追加[35] 消費EN[4] 金額[360] 弾薬費[50] 重量[150] [物理射撃] *作者* |
▼詳細 |
6 | 粒子ブレードA | 簡易粒子ブレード [20/---/---] 火力[1053] 連撃数[1] 防御属性[電子] 防御値[540] 精度[87] 貯水量[175] 弾数[9999] 武器属性[漏出] 異常追加[30] 消費EN[360] 金額[360] 重量[150] [粒子格闘] *作者* |
▼詳細 |
7 | エンジンB | 簡易エンジン [20/---/---]《装備:6》 | ▼詳細 |
8 | レーダーA | 簡易レーダー [20/---/---]《装備:11》 | ▼詳細 |
9 | 培養装置A | グミ・ハイドラ [20/出力/---]《装備:3》 | ▼詳細 |
10 | 素材 | アンテナ20 [20/索敵/---] | ▼詳細 |
11 | 素材 | 姿勢制御装置20 [20/飛行/---] | ▼詳細 |
12 | 素材 | アンテナ20 [20/索敵/---] | ▼詳細 |
13 | エンジンA | うさみみ族特製エンジン [20/重量軽減/---]《装備:7》 | ▼詳細 |
14 | エンジンA | 『G.E.K』 [20/出力/---]《装備:8》 | ▼詳細 |
15 | 培養装置A | D8-14E2-CA1自己治癒型卵巣 [20/AP回復/---]《装備:4》 | ▼詳細 |
16 | 素材 | 姿勢制御装置21 [21/飛行/---] 特殊B[100] [素材] |
▼詳細 |
17 | 素材 | 衝撃吸収板21 [21/耐物/---] 特殊B[100] [素材] |
▼詳細 |
18 | 培養装置A | 幼き焔 [20/耐火/耐火]《装備:5》 | ▼詳細 |
19 | 培養装置A | ちっとましなガラクタ [20/噴霧/耐物]《装備:10》 | ▼詳細 |
20 | エンジンB | YASAKANI-JEWEL[mk.1] [20/出力/出力]《装備:9》 | ▼詳細 |
21 | 素材 | 特殊合金22 [22/重装甲/---] 特殊B[120] [素材] |
▼詳細 |
22 | 素材 | 噴霧ノズル22 [22/噴霧/---] 特殊B[120] [素材] |
▼詳細 |
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