ENo.0357　赤田　幸

コウ「怖かった・・・・マジ怖かった・・・・何なんアレ、マジなんなん！？」

操縦棺の中で半べそかきながら、ぶるぶる震えている少年『赤田　幸（あかた　こう）』である。
そして、何処からともなく聞こえる声・・・・。

「いやぁ・・・・マジ死ぬかと思ったねー」

「本当に生きた心地がしなかったよ」

初っ端から見事に攻撃をがっつり食らってしまい恐怖体験をしてしまった訳で・・・・今まで、のほほんと平和な世界で暮らしていたコウ達には何かと『刺激』が強すぎたようだ。

落ち着いてから・・・・少し考えた表情をしつつ『他の2人』に話しかけるコウ。

コウ「・・・・ねぇ・・・・2人とも、あまりぺちゃくちゃ喋るのは不味くない？」

「・・・・なんで？」

コウ「いやさ・・・・今は通信切ってるから良いけど・・・・ほら操縦棺に座ってるの一応、僕だけだからさ・・・・」

「あー・・・・確かに色々と不味いよねー」

「特に通信中とかにコウのフード外した姿を見られてもヤバい事になりそうだよね・・・・いや・・・・うん・・・・俺達も含めてね？」

コウ「・・・・とは言え・・・・僕たちは一心同体と言うか切っても切れない存在・・・・もとい『兄弟』だからね・・・・『豊（ほう）』と『南（なん）』は」

「だねー何か良い方法ないーホウ？」

ホウ「・・・・まって・・・・今、考えてるから・・・・あっそうだ！」

声の片方こと『ホウ（豊）』が何かを思いついたようだ。

コウ「ホウ・・・・何かいい考え思いついた・・・・の・・・・って、わぁっ！？」

するりとコウの着ている赤色のフード付きジップパーカーのポケットから飛び出す人型（？）っぽい紙2枚。

コウ「えっ・・・・コレって確か『熊野』のお祖父ちゃんとこの・・・・式神っ・・・・何時の間に！？」

ふわふわと・・・・不可視の力（？）で式神の紙を回しながら答えるホウ。

ホウ「いやさぁ・・・・正月に『神社』の手伝いしてた合間に、こっそり貰ったんだよね・・・・まぁ厄除けと言うか御守みたいな感じでね？」

コウ「まって・・・・僕、気が付かなかったし・・・・『ナン（南）』は気づいてた？」

ナン「ぜーんぜん・・・・てか参拝客さんの相手するので手一杯だったもん、覚えてる訳ないじゃん？」

コウ「だよね・・・・まぁ・・・・それは良いとして、その式神どうするの？」

ホウ「コウ、ちょい頼むけど・・・・この式神に顔描いてくれない・・・・適当に俺達のイメージでさ？」

ナン「あ～何となく分かったーそういうこと？」

コウ「・・・・？？？？」

いまいち釈然としない表情しつつも持ってた油性ペンで式神の顔の部分に顔を描く・・・・そして。



ナン「お～良い感じじゃ～ん、コレ」

ホウ「でしょ・・・・コレで通信中とかに俺達が喋っていても陰陽術で降ろした『コウの式神』って事で押し通せるでしょ？」

コウ「あ～そう言う事にするのかぁ・・・・でも僕、陰陽術とか使えないよ？」

ホウ「でも弱いながらも俺達は『超能力』もとい『念動力』使えるから上手い事やれば疑われないって」

愉しそうに其々、自由にくるくると舞う『式神』。

ナン「まぁでもコレで割と自由にしゃべれるのは良いかもーうん黙ってるのは正直つらかったよ、怖くても黙って堪えるしかなかったし？」

コウ「あっ・・・・」

そう・・・・戦闘中コウだけは恐怖で、ぎゃあぎゃあ叫んでいたがホウとナンは叫びたいにも拘わらず、じっと黙って耐えていたのだ。

コウ「気が付かなくて・・・・ゴメン・・・・」

ホウ「気にすんなって・・・・これからはお構いなしに、やいのやいの言うつもりだし」

ナン「うんうん～きにすんな～」


さて・・・・この個性的な『3兄弟』は、本当にこの先どうなるのだろうか・・・・無事に元の世界に帰れるのか・・・・取り敢えず『彼等の物語』は、まだ始まったばかり・・・・先の事は何もわからない。




果たして生き残れるのか・・・・それとも・・・・？