ENo.0104　ベニバナ・ヤナギ

-　-　-　-　-　-　-　-



基地内、休憩ホール。





「ドォォオルアアァァァァッ！！ ワレェェェッ！！！！」



前方を歩く白い頭に どぉぉーん！ とドロップキックが放たれるッ



「なっ……攻撃！？ まさか基地内部にまで敵がッ！？」

「……非常事態だ！みな直ちに応戦を――」



ゴツンッ☆

ゲンコツを食らう白い頭。



「だあぁぁれが敵じゃ、この乳ィィ…ッ！！」


「…………おお、よく見たらベニ子だ。」



「……もしかして今、怒ってるか？」


ささっと物陰に隠れる。




「……怒ってへん、怒ってへんよー？」


にこっと笑いかける。




安心した顔で出てくる姉。


「そうか！この前の出撃は大変だったな、ご苦労さ――」



ゴゴツンッ☆

出てきたところでさらにゲンコツが飛ぶ。




「……怒らないでか、乳様よ。」


姉を睨みつける。



「お、怒ってないって言ったじゃないか…っ！嘘はダメだ、メッだぞベニ子！！」


「出撃だって時にどこフラフラしとったんや！僚機の意味わかってんか！！？」


「あぁ、あのときは………」


「あのときは～？」



「……丁度甘いものが食べたくなってな。」

「売店で、貴重な………イチゴ大福を見つけたのだ。」

「そしてサイレンが鳴り響いた。私は急いでイチゴ大福を頬張りすぐに戦場に――」


ゴゴゴツンッ☆



「何を好き勝手やっとんじゃ！……警戒態勢時やッ！甘いもんくらい我慢せぇッ！！」


「ベニ子は……我慢できるのか……！？」


「当たり前やろ。ウチもユキ姉も、もう子供やないんやで？」



それを聞いて感心したように妹を見る。

そして姉が懐から取り出したのは、ひとつのイチゴ大福。


「そうか、ベニ子は凄いな！ 姉ちゃんうっかりベニ子ぶんのイチゴ大福も買ってきちゃった。」

「それじゃこのイチゴ大福は姉ちゃんが――」




「………待ちぃや。」


「……ん？？」



「……嫌いとは言うとらん。」



「……………」

「気を遣ってくれてるのか？ 大丈夫、姉ちゃんまだこういう子供の食べ物が好きって自分で分かってるから。」



「ふ、ふたつも食ったら太るやろ！ウチに買ってくれたならウチが食うわ！！」


「……たしかに。さすがベニ子だな！私の体調管理まで気遣って……ッ」


イチゴ大福を受け取る。





「……それと、大福はジジババも食うから、子供とかそういうのは…… 気にせんでえぇやろ。」


「…………」

「ベニ子は優しいな！」


「……ゲンコツ何発も食らった相手に言うコトバかッ！」



「それと、……かわいい。」


「な、なに言うてんじゃ……このボケ乳！ アホッ！ 死ねッ！！」


何かを見透かしたような目を向けられる。
















「………ッ！！なんやこの大福めっちゃ美味いなッ！！！」

「……ベニ子にも分かるか！ BerryHouseの創るこの大福の素晴らしさがッ」














『―― 全隊員に告ぐ。

　ミッション開始時刻が近づいている。

　速やかに出撃準備を行なうこと。 繰り返す ――』







「さぁて次のお仕事じゃ。……うっかり死ぬなやユキ姉。」


「もちろん！戦場じゃしっかりベニ子を守るからねっ！！」


「よぅ言うわ。……また集合ポイント間違えんようになァ？」


「だ、大丈夫だ……　……たぶん！！」
















機体に乗り込み、各設定の再確認を始める。





「……しっかりアイツ守ってや、タマよ。ウチと違って、ユキ姉には役目があるんや……」








-　-　-　-　-　-　-　-