ENo.0055　クラトス･イェーガー

○月○×日
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上司……っていうかなんていうかな、ハイドラライダーのお偉いさんが解雇……か。
田舎で子犬のブリーダー、ねぇ。　リズも犬やら猫やらは好きだったな。
だが俺たちはあの故郷を追われた身だ、居場所なんてねえ。
あるとしたらいまここだ。
俺の命を懸けてでも、フレンの目はもちろんリズだって幸せにしてやらにゃならねぇ！
それが兄貴の務めってもンだからな！

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　クラトスの日誌より

【出撃:死亡許容】
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おんぼろのラジオに二人の影が寄り添い、耳を済ませていた。
片方は目が見えないのだからそうだろうが、
これは彼らの少ない財産によってかろうじて作り出された住処を切り取った一部でしかない。

木製の椅子やテーブルはところどころえぐれたように削れていたり、ひび割れていたり。
それを鑢で整えたり適当な木材で補強するのが　長男クラトスの役割だった。
いまでこそ彼のおかげで他の家具も目だった損傷は修繕されており、
彼らはかろうじて何の危険性もなく暮らせているのだ。
フレデリック「……ねえ、姉さん。　このニュースって……」

ラジオがニュースをひとつひとつ進めていくうちに、弟は不安げな顔を浮かべて姉を見ていた。
要するに今までクラトスが派遣されていた場所は小規模なクーデターやテロの鎮圧活動であり、
本当に戦場というには低い位置であった　ということだ。

リズレット「月の谷……そこへ向かうのね……」

姉のほうもどこかうわのそらだった。
今までクラトスが帰ってきたのだって、それは比較的危険度の少ない場所だったからなのだと。
……本当に兄が帰ってこない日がいつかやってくるのかもしれない。

それでもリズレットはただぼうぜんとするしかなかった。