ENo.0104　ベニバナ・ヤナギ

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次の任務の事前情報を再確認する。



「………こりゃ結構な要塞やなぁ。」
「うじゃうじゃと……テンペストと霊場に多少シフトしたが、きっついのぅ。」






「次はタイヘンなのか？」



ひょこっと後ろから出てくる姉。



「……また性懲りもなく中に入りおって。」


「何か美味しいものあるかな、って。」


「アメちゃんあげたやろ。」


「もう全部食べた。」


「食欲までゴリラ化が始まっとんか！」


「まぁな！」



呆れた顔をして、席を立つ。



「……ん？ どこへ行くんだ？」



黙って機内倉庫へと移動する。

後についていく姉。



「ここは……　……ゴミ置き場？」


「……せやせや。その ”ゴミ置き場” から乳の食いもん出したるわ。」



散らかった倉庫をガサゴソと漁っている。



「……姉ちゃんさすがにゴミは食べないぞ？」


「案外えぇゴミかもしれんで？ ……ほれっ！」



姉に小袋を放り投げる。



「……この袋。ワッフル専門店『オーヴァル』かっ！？」


「ごめぃとぅ。……ほんでもって袋の店舗名を見てみぃ。」


「……ッ！！コウラクチョウ！ 本店じゃないかッ！！」


「とっておきや。ゴミにしちゃ、えぇもんやろ？」


「で、でもこんな貴重なもの…… もらっていいのか？」


「…………もちろんや。」


「………？」



いつもと違う、少し暗い表情を浮かべるベニ子。



「………あのなユキ姉。次の任務でウチは…… 死んでしまうかもしれん。」
「そうなればこれも一緒にドカンや。そうならんうちにユキ姉に食わさんと勿体無いと思ぅてな。」


「……！！ なんてこと言うんだ！そんな理由でこんなの受け取れるかッ！！」



激昂する姉にすぐさま言葉を返す。


「なに言うとんねん、逆や逆。それ全部食うつもりか？乳ゴリラめ。」
「ちゃんとウチのぶん残しといてや！それをご褒美にウチは死なん努力するんやから。」


「そういうことか！なら姉ちゃんもこれをご褒美に――」


「ゴリラは我慢せず戦闘前に食ってエネルギーにしとき。生存率上がるで。」


「そ、そうだなッ！！ そうするッ！！！」


「ほら、したら出てきぃ。しっ！しっ！」


「姉ちゃん頑張るぞ！！ ベニ子も守るからなッ！！」


そう言う姉を機内から押し出し、見送る。










「………さてさてさて。」


ピピッとモニターを開く。

姉の機内映像を映し出し、端っこに小さく表示して置いておく。













　　　＝＝＝　数時間後　＝＝＝















『 ―― 目標地点に到達！

　　各自作戦どおりの配置につけ！ 』






作戦が開始される。

ベニ子のモニターに映る機内の姉の映像。






『………よしっ！ベニ子から貰ったワッフルを食べて頑張るぞッ！！』



小袋を開ける。


―― と同時に黙り込み………真っ青になる姉の顔。









『ベ、ベニ子！！？ ……無いぞッ！！！ ワッフルが…… 無いッ！！！！』

『誰かに食べられているッ！！！ ……敵ッ！？ 敵のしわざかッ！！！？』



















「……………ほんとユキ姉は、おもろいのぅ。」



モニター越しに、慌てふためく姉をニヤニヤと見つめる。






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（桃色髪の少女が黙々と何かを作っている）