ENo.0035　如月

　パイロットデバイス68式甲109号のコンディションチェック。

　生命維持……、規定値を達成。
　精神安定……、規定値を下回る。

　該当デバイスの継続利用を決定。
　損傷部位は修理とする。


　…………………………………………。


　新型デバイスの最初の実戦運用試験を終える。
　違いははっきりと結果に現れた。

　まず、旧式では叶わなかった生命維持が規定値を越えた。
　デバイスの自己診断では生命維持に異常値を記録していたが、回収後の解析により検知器の不具合と判断。
　実戦試験始まって以来の単一素体を使用した二回目の運用試験となる。

　いずれにせよ、これによりデバイス整備の負担が軽くなるだけでなく、補給不可能な状況下での継続的な戦闘行動への適性が向上が見込める。


　…………………………………………。


　術導駆動制御機構に不具合が見つかる。
　電磁波強度が極端に高い環境下では霊導効率が向上し、制御機構の性能もそれに比例、霊振動集束の転用兵装……いわゆる霊障攻撃が強力になることは周知の事実だ。

　その霊導効率の変化が悪い方向に転がった。
　検知器が過敏なのだ。
　正常範囲の計測値を、異常と診断してしまう。

　急ごしらえだが安全装置を追加した。
　今回はやむを得ず外付けだが、これは必須ゆえに本来ならばデバイスに内蔵するぺき機能だ。丙型には実装を間に合わせるとしよう。


　…………………………………………。


　パイロットをデバイス68式乙40号へ修理交換。
　戦闘人格および学習記録をバックアップからロード。
　コンディションチェック。

　生命維持……、正常。
　精神安定……、正常。


　さあ、出撃の時間だ。

残像領域のある場所。
ある都市のうちのひとつ、霧都市。

都市のはずれ、その中にひとつ、霧の中でぼんやりと明かりが灯っている建物が見える。

霧と混じる工房の煙。
ここは、ダガー工房。
ハイドラのためのダガーを造るための人々が集う場所。
硬質ダガーに魅せられた人々が集う場所。

今日もダガーの職人、技術者、お客、全然関係ない人。
いろいろな人物がいろいろな目的で集まっている。

その様子を工房の片隅で、
無口なバーテンが笑顔で見ている。


※説明
・ダガーユニオン
・【訓練】格闘*5　【購入】経験値+1
・雰囲気ユニオン
・片隅にショットバー