ENo.0053　ディヴェル

・・・相棒の子が、週刊誌めいたものを作ると意気込んでいた。
ちょっと意外。そういうのに手を出す子と思ってなかったんだよね。

あたしも何かやれることはあるだろうか。

「・・・電子妖精、『スピリッツ』。機動」

あたしの声に応えて、ハイドラのモニタからビープ音が鳴る。

（お呼びですか、マスター？）
「敵データの情報収集を開始して。大まかな値でいいよ。
　テンペストとかの情報を他ハイドラ乗りに開示する」
（現在の所持情報も流します？相対的にこちらの稼ぎが悪くなる可能性があります）
「心配性だなー。流しちゃおう。独自に蒐集している人もいるだろうからね」
（了解。収集ならびに開示準備に入ります）

スピリッツ。もう一人の相棒、予定。
情報収集するのがめんどくさくてくみ上げた人工知能。
平時はさっきのような情報収集を、
戦闘中は敵にクラッキングしかけて異常誘発してくれたり大助かり。
・・・作製にあたりめっちゃ苦労したため差し引きはトントンだろうか。
とりあえずこの子の完成も今回の目的、になるだろうか・・・。

生き残った者達へ。
これから往く者達へ。
私たちは歌おう、今日この日があることを。
私たちは祝おう、今日この身があることを。

全ての生きとし生けるもの達へ。
健やかに、でもなく。末永く、でもなく。
ただただ只管満足な生と、満足な死が迎えられるように。

乾杯。