ENo.0206　モニカ・フランクリン

　攻撃戦果補正、6.71％。支援戦果補正、4.56％。防衛戦果補正、4.7％。
　端末に映し出された数字はこの前の戦闘での戦果で、キリトさんが私の援護に徹することになってからの初めての戦果でもある。
　まあ支援とか防衛とかは私の仕事ではあんまりないからいいとして、問題は攻撃戦果補正だ。一つ前の戦闘でのそれを確認すると、6.6％。えーと。上がってはいるけど誤差かな。

「……むむー」

　でもまあ、初めてそういう風に、つまりキリトさんの援護に色んな物をもっと豪快に放り投げることを決め込んで戦って、という割には上手く行ったのではないでしょうかとは思うけど。
　なんせ初めてだったわけですし。初めて。慣れとか場数を踏むのが必要だとかキリトさん本人が言ってたことだし、下がんなかっただけいいっていうか。
　と、いうか、こういうのはその時の戦場とか、その時の顔ぶれとかにもよるし、運も関係するし、一回一回だけ見てああだこうだしても割とどうしようもないっていうか。うーんと。
　うーんと。

　格納庫に収められたウォーハイドラを見上げる。ヘリオトロープ。花と同じ色をした私の愛機。
　最初はもうちょっと無骨というか、でこぼこな感じのデザインをしていたような気がする。何がしたいのかよく分からない感じの。当たり前だけど。なんせ言われるままに基本のパーツを備えて、というので精一杯だったわけだし。
　今はとにかく武器はパイルで揃えて、弾数の少なさを補うために腕を多めに載せて、後は少しでも早く、速く動き出すための車輪を備えて。
　自分のやりたいことを、どのように実現すればいいかが少しずつ分かってきた。そのためにあれこれ工夫するのも楽しくなってきた。

　――私がやっていることは戦いだ。
　戦って、人を殺すことだ。殺すぞ！　って思ってるわけじゃないけど、動かなくさせる！　吹っ飛ばす！　とは思ってるし、その結果死んでしまったとしてもまあ仕方ないと思っている。
　楽しむなんてのは不謹慎であるとは、重々承知してるつもりだけど、

「……でも、相棒だもんね」

　相棒なのだ。あの人の。お兄ちゃんの先輩の、歴戦の、知ってる人も思いの外多い、そんでもって本人はなんかそんな雰囲気をあんまり感じさせないような口下手で仏頂面で色々唐突な。
　だから、それに応えるために手を尽くすことにうきうきする。そうしたいと思う。
　から、そうする。のだ。私はとりあえずそんな感じで、それで戦えるから、まあいいや。いいことにします。
　いいことにして、次はもっとたくさんこう、抜いていきたいと思います。パイルで。たくさん。