ENo.0276　ローデット・ダイス

「おい、おいおっさん！きちんと通信聞こえてんのか！？」


何度か僚機に声をかけたがバルトは返事をしなかった。
あの戦闘狂……！チッと舌打ちをしてできるだけ彼の近くに行って止めるしかなかった。
アセンブルにAPはそこまで計算していない、こっちの機体が向こうに行くまで狙われないといいんだが。


「バルト！出過ぎだ！一回下がれ！」


ようやく聞こえたらしい、返事が返ってきた。
はあ、と安堵に呆れが混じったようななんとも言えない溜息が出た。


「おっさんが、何度呼んでも返事もしねえから……！」
『は？呼んでた？』


気付いてなかったのかよ、だとしたら重症だぞ。
バルトが死亡許容を改めて生存優先にしておいて良かったと
こんなデカい山場の時に思うだなんて、本当今更だと思う。
だけど、この状態は生存優先にしていても、大丈夫なんだろうか。
私が無理して機体に直接乗ったように、あいつは脚部を変えてその後どんな負担抱え込んでんだ？



戦闘が終われば自分の戦果を見たバルトは満足そうに笑っていた。
そりゃあそうだ、こっちから見てもあいつの戦果は想像以上の戦果で吃驚していた。
だが、あんなトリップ状態がこれからも続くとしたら
脚部を変えるのは危険なんじゃないだろうか。
不安になって問いただしたらバルトの返事は「あンなの、慣れれば大丈夫だ」と。


「そんなのんきな話かよ！？ああくそ、まさかあの技術屋の気持ちがわかるなんて思わなかった」


私がコネクト選ぶ、大丈夫だって言った時、こんな気持ちだったんだろうか。
こんな気持ちがわかってしまう自分が嫌になる、今までだったらそんなことなかったのに。
……などと私にしては珍しく怒ってしまったのだが、彼に返答はなかった。
いや、返答がないというよりこれは――




「……まあ、直接乗った方が負担が少ないのかそこまで異常は見当たらなかった」

「あ、そう。んじゃ暫く直接機体に乗るわ。ステルスに戻すならまた考えるけど」

「けど動きにくいんじゃないか」

「んな心配するくらいならさっさと腕作ってくれよ。戦果はきちんととってきてるんだぜ」

「ぐ……」

「それに……」

「それに？」

「……いや、少しハイドラのテストしてくるわ」



バルトがまたあんな風になった時、こっちに居たんじゃどうしようもないから
そう考えると直接機体乗ってた方がまだいいんじゃないかなと思う。



「……はあ」



いつからこんな風に考えるようになっちまったんだか。

とあるものを求める為の集まり場。
それが何であろうと構わない、情報収集の場でもある。


制御*5、ユニオン購入は適当