ENo.0493　陶玉

―ところどころ風化したコンクリートの柱が立ち並ぶ。
それに支えられる屋根もまた劣化は酷く、時折ぱらぱらと粉塵を落としている。

ここは、うち捨てられた廃ホテルの正面玄関。
本来は来客の送迎車両などが出入りするのであろう
空間には、
古い複数の轍に紛れて、ハイドラの装甲脚部が踏みしめた真新しい痕跡が散見される。


「……生き延びたな。」

[被弾すらしていないと指摘します.]
「そういう立ち回りじゃないから責められた事じゃないがね。」

「……あの気色悪いサナギを観測した時は、戦場に出たのを後悔したのだけれど。」
「損害なしならば、必要な整備も調整だけで楽で良い。」

[tao-yu...その整備の件です.]

「うん？」

[現拠点はハイドラの損害が大きい時対応が困難.]
[また.現在の生活を維持する事も.それは.長い期間を望むのは難しいと指摘します.]

「……お前まで僕に街に出ろと言うのか。」
「調子が良くない。またああなるのが目に見えている。」

[薬剤による安定法は終了していた事は.通院記録にて最古のログです.]

「……。」


「考えては、いる。目的さえあればどこにでも行けるんだ。」