ENo.0605　シド・ザ・クラーケン

男は戦場にいた。
いつも通り敵と銃撃戦をしていた。
壁に隠れながら弾幕をやり過ごす。
男は霧立ち込める戦場にいた。
弾幕がやみ、身を乗り出して銃を撃とうとしたとき、
目の前を霧が覆い、その合間から荒れた戦場が見えた。
霧が晴れると目の前にはいたるところがへしゃげた多脚の機械があった。
男は何かに誘われるように機体の操縦席へ向かった。
そして、その中を確認した。

「イル……」

女がいた。
かつて戦場を共にした女がいた。
それは変わらぬ姿で綺麗に座っていた。
そして、死んでいた。

「イル……」

あまりに人間的な出来事に、戦場の殺戮人形は静かな音を立てて壊れる。

「ああ、イル。こんなところにいたのか」

「イル、ずっと探してたんだよ」

「ああ、動けないんだね」

「ああ、君は、なんてキレイなんだっ」

「なんで、なんで、こんなに」

「こんなにも、ここは君の匂いがする」

「これからは一緒に戦場を行こう」

「そうだ、ずっと、一緒に」

「あ、こんなところにホクロ……」

「なんだ、意外と可愛いところもあるんだな」

「え、帰る？基地に？」

「操作は何となくだけど、わかるよ」

「わかった、一緒に帰ろう」

「ちょっと狭いけど、膝の上で我慢してね」

「うん、君の匂いがする」

「愛してるよ、イル」

残像領域のどこかの町にある、行き場のない者の寄り合い所。運営は気まぐれ。
利用・改築自由の集合住宅。2LDKの5階建て。
管理者に御用の方は、3階の角部屋まで。

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ユニオン活動：現在は反応*5
ユニオン購入：経験値+1、またはAP+10%