ENo.0526　CSMC-65 SWARM of HORNET

「……確かに納品は確認した。手筈通りに送金は行われるはずだ」
「では失礼する。ラムダ教に栄光あれ」

踵を返し、男は軍靴の音を立て足早に去っていく。

「ラムダ教団」なる謎の組織。
ラムダ惑星とやらに信心を置き、その教祖を名乗る男は、「ラムダ教」の再興と信者の獲得を目論んでいるらしい。
なんでも、かつては宇宙の一角を総て、宇宙戦艦までをも保有していたという。

宗教を信じるつもりはない。

存在自体を否定するつもりもない。いつ命絶たれるかも知れぬ霧の世界。五里霧中の不安の中、ただ「信じる」という力だけで前を向けるならそれに越した事はない。
ただ、その信心を、誰とも知れぬ者が得をする為に作られた、都合の良い空想を依り代にする事が受け入れられないだけだ。

だが。
名刺代わりとばかりに見せつけてきた、男のハイドラの機体構成が脳裏に過る。

到底撃ち切れない程の機関砲。
隙間なく敷き詰められた装甲板。

「あれなら信じてやってもいいな」
宗教などという精神面に寄り添う神秘的な言葉を使っていながら、信仰の対象が鉛玉の雨と装甲とは。
……アレは何も裏切らない。
弾丸は全てに等しく損害を与え、
装甲はあらゆる場面で命を守る。
この世界において何よりも揺るがない事実。

ある意味では自分の機体にも似たポリシーでありながら、それを遥かに上回る程不確実性を排除した信念。

あのパイロットは、この戦いを解っている。
ハイドラ大隊などと言いながら、本日は個の戦いである事。
最後に身を守るのは自分の機体しかない事。

「……CHARGEとか言ったな」
突撃を意味する言葉。
その響きに無闇な特攻や頓死は感じさせない。
何よりも揺るがない鋼鉄の塊は、確実に戦果を産み、そして確実に帰ってくるだろう。

……チャージ。どこか懐かしさを覚える単語。

「……いい名前だ」

とりあえずミサイルを撃ちたい

空対空ミサイルとかSAMとか迎撃ミサイルとかコンテナミサイルとか納豆ミサイルとか皆好きでしょう？

そうでもない？そう…